【第二章】第三十七部分
昆太がお化け屋敷の出口に来ると、市長が待っていた。いちばん最初に失神していたが、その後先回りしてゴールに来たらしい。
「オニイチャン、無事だったんだねだよん。よかったよん。もえ、寂しかったんだよん。だからハグ一気、一喜、五木ひろしだよん!」
萌絵はジャンピングダッシュを試みたが、やはりちんちくりんであって、昆太に到達できず、重力のなすがままに落下した。
「オニイチャン、冷たいよん。でもその表情なら殺し方はわかったようだなだよん?」
「さあどうかな。たしかに、熱、電気、毒とか、こうしてみんな戻ってきてるし。」
「まだ市長が死んでないので、死んでくれ。」
「イタいの、やだよん。」
首を折れんばかりに振って拒否る市長。
「でも痛くないやり方なんていくらでもあるのでは。木憂華に頼めば安楽死なんて楽勝だろう。」
「そんなこと言われても拒否るよん。」
「それはここにいる自分と入れ替わるのがイヤなんだろう。」
「見抜いていたのかだよん。」
「もう答えは出てるよな。そこの三人幼女はすでに違う人物だろう。制服がキレイなのは汚れたり破れたりしているのを修復、クリーニングしたものではないだろう。さっき失禁した木憂華にニオイが残ってなかったし。不老不死とは同じ人間の命が続くことであって、それとは明らかに違うという感じがするぞ。」
「すごいよん。なんとなく殺しを見せたつもりだったけど、きっちり分析してたんだねだよん。こういうのはすごくおいしいよん。岩にしみいるセミヌードしちゃうよん。」
興奮した萌絵は、スカートをたくしあげて、お腹から下のあられなき、しかしケガレはあるかも知れない部分をオープンにした。ふんわりしたイチゴ柄の幼女パンツがまぶしい。
「ぐっ。これはロリポイントヒットか?」
いきなりの幼女パンツに、一瞬心を動かされそうになった昆太だが、すぐに冷静さを取り戻した。ややツンデレ含みで顔を強ばらせながらも、気丈に萌絵を見ている。
「オニイチャンがこのパンツに触れれば、オニイチャンが魔力供給源になって、次元移動魔法を使えるよん。」
「な、なんだと!?それはおいしいような、しかし、めっちゃキケンなニオイがするぞ。クンクン。」
「オニイチャン、あんまりあせっちゃダメだよ。あはん。」
昆太はあまりに露骨に鼻をパンツにくっつけてニオイを嗅いでいた。常識的には変質者カテゴリーど真ん中である。




