【第二章】第二十九部分
「不老不死っていうけど、ずっと前のこの国は不老不死じゃなかったんだよね。あたしは生まれた時から不老不死だったけど、親は違ったんだよね。今、ここにお兄ちゃんが来てるけど、昔も同じようなことがあったっけ。
ある時、どこからともなく、男の子が紛れ込んできた。顔とかあまり覚えてないけど、お兄ちゃんに似ていたような気がする。
あたしと同じぐらいの年に見えた男の子は、噂の男子と違って怖くなくて、むしろすごく優しくて、あたしはこの男の子が好きになった。男の子は普通の人間だったのか、どんどん成長して、身長が175センチぐらいになった。しかしあたしは幼女のまま。思春期を迎えたらしい男の子は、当然のように他の大きな女子に興味を持つようになった。
といってもこの世界には幼女しかいないのだから、インターネットとか通販とかで普通の女子高生とかの情報収集にやっきになっていた。当然あたしと遊ぶこともなくなり、元の世界に帰りたいと毎日嘆くようになっていた。
『そんなに大きな女子がいいの?あたしじゃ、ダメなの?』
恋の駆け引きとかできないあたしは、直球を投げるしかなかった。
『そんなの当たり前だろ。僕は普通の人間だ。ロリコンなんかじゃないんだからな!』
次の瞬間、あたしはナタをひと振りした。赤いボールのようなものが転がっていくのをなんとなく眺めていた。
あたしは自分に絶望して、そのナタで自分の首を斬った。でもやはり死ぬことはなく、殺した記憶も刻まれたままだった。
この世界は死ぬ者がいないので、殺人は罪にならないから法律的には問題なかった。
あたしは自分の不老不死を恨んで泣きまくった。」
どうして今頃になってあの時のことを思い出したんだろう。
起き上がった箱子の背中に温もりを感じた。
「おい、箱子。生きてるか?いやちゃんと生還したのか。よかった!」
「お兄ちゃんが泣きながら、あたしをすりすりしている。でも胸を中心に顔面摩擦をしているので、軽くはたいてぶっ飛ばしたよ。」
「市長の言ってたことは、やっぱり妄言だね。この通り箱子はピンピンしてるよ。しかし、痛かったなあ。」
頭と腰をさすりながら昆太が箱子に近づいていく。
吝奈と木憂華も無事復活していた。




