【第二章】第二十五部分
「ゴムボールじゃ、どう見ても殺傷能力に欠けるだろう。」
「そういうフレーズを出してきたということは、殺す気満々ということだよん。」
「「「じーっ。」」」
三人幼女は蔑んだ視線を昆太に浴びせかける。
「そ、そんなことはないぞ。あくまで言語教育の見地から物申しただけだ。」
「どこにも教育用語は存在しないことはおいといて、ボールはゴムではなく、この鉄球を使うよん。」
四方八方に鋭い針の付いた鉄の玉を手にした萌絵。すでに血が滲んでいる。
「それは危な過ぎるだろう。持ってるだけでケガするじゃないか。」
「大丈夫。このグローブをつけてやるよん。」
ゴワゴワで黒光りする手袋を、4セット地面に並べた萌絵。
「この体操着は防水素材だから鉄球使って流血しても大丈夫だよん。だから安心して顔面直撃させて構わないよん。」
「痛そうでかわいそうで全然安心できないぞ。それに幼女の顔を狙うなんて、俺にはムリだ。」
「じゃあ、胸でもどこでも好きなところを狙うだよん。」
「勝手にするさ。ところで、ドッジボールと言ってるけど、みんながバットを持っているのはどういうワケだ?」
「もえは、ケツバットと言ったよん。鉄球のケツをバットで打ってバットで返す。からだで打つんじゃないんだから、安全だよん。」
「バットで鉄球を打つなんて、もはやドッジボールじゃねえ!」
昆太の苦情は受け付けされることなく、グラウンドではチーム分けがなされた。
二対二。均等に振り分けられた人数で問題ない。しかし両チームの顔面温度差は、甚だしかった。
『チームニコニコ』は箱子と昆太。『チームムスッと』は吝奈と木憂華。
「向こうのチームはなんとなく、機嫌が悪いようだけど気のせいかな?」
「そうだよ、お兄ちゃん。何か悪いものでも拾って食べたんだよ。」
「この組み合わせは、両者の合計パワーを比較してハンデをつけたものだよん。」
「趣旨はわかりますけど、ムカつきまちゅわ。」
「理由はわからないけど、不合理な帰結と思えるぢゃん。」
「魔力供給は済ませてあるよん。じゃあいきなり試合開始。ピーッ。」
萌絵が笛を吹いた。




