【第二章】第一部分
『ドン、ドン、ドン、ドン。』
どこをどう飛んだのか、わからないまま、四人は着地した。誰もケガをしていない。
「ここはいったいどこなんだろう。」
「さあ、分校の里から外には出たことがありまちぇんから。」
「てゆうか、外に出ることはできない校則があるから仕方ないぢゃん。それをまともに受け入れているQたちも変だけど、ずっとそれをやってると、外に出ることすら考えなくなるぢゃん。習慣性とは恐ろしい性癖だけど、知らないうちに、情報統制されているかもぢゃん。」
「ここからでは、薄くて黄色な風景が広がるばかりだな。これは砂じゃないかな。」
昆太は足元からひとすくいすると、パラパラと砂が落ちた。
「ホント、ここには何もないよ。見渡す限り砂、砂、砂だね。でも砂で、遊べるよ。」
砂で城を作り始めた箱子。
「もしかして、辺境の地に飛ばされたとか?朝田先生はそういうことをやりかねないでちゅわ。都市に送るとか言われて、実際は騙されたんでちゅわ。もう分校の里には戻れまちぇんわ。べ、別に戻りたいとか思いまちぇんけど。うえ~ん。」
ツンツンしながらも泣き出した吝奈。これも一種のデレなのか。
吝奈の横で、砂の城を完成させた箱子は、何かを感じたのか、珍しく鋭い目つきで昆太を見た。
「なんか、急にこの城を大ナタで叩きたくなったよ。お兄ちゃん、ちょっと、ゾウさん出して。」
「いきなり何を言い出すんだ。こんなところでできるか!」
「じゃあ、こんなところじゃない場所ならいいかな?ねえ、お兄ちゃん。」
上目使いの箱子。身長差からどうしても自然にこの視線・角度となってしまう。
「ぐッ。幼女の45度目線ビーム攻撃か!俺の防御力ではこれには対抗できない。理性のロリ王壁が崩れていくぅ~。」
「そんなの、目を閉じればカンタンに防衛できるぢゃん。」
「そういえばそうだな。・・・。瞼が下がらない。これがロリ王の性というものか!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「自分で瞼を引き上げてるぢゃん。見下げ果てたロリ欲望王ぢゃん。」
「そのサディスティックな幼女の非難にも萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「よ~し。箱子、こっちへ来てくれ。
昆太は、吝奈・木憂華に背中を向けて、自分の向かい側に箱を誘導した。
「は~い。じゃあ、そっちに行くね。」
頭脳無垢な箱はロリ欲望王の正面に移動した。




