【第一章】第二十六部分
「「ソレダメ~!!」」
「いて~!」
昆太はゾウさんベッドの手前でキレイな弧を描いてターンした。
「やっぱり昆太さんは男子でちゅわ。」
「そうぢゃん。パコを狙っていたぢゃん。危険動物ぢゃん。ぶっ殺すぢゃん。男子なら不老不死ではないはずぢゃん。」
吝奈は前に出て昆太に物申しているが、木憂華はやはりその五メートルは後ろに下がり、メガホントークしている。
「待ってくれ!誤解だ。ナニもしていない。まだ。」
床に腰をつけたままで、右手を伸ばして、無罪を主張する昆太。
「『まだ』という未遂は犯罪者。断罪しまちゅわ。」
牙と注射器を構えるふたり。でも所詮ロリ。
「か、かわいい!このまま、ロリにヤラレるのもウレシイかも。」
思考の方向転換が始まった昆太。
「この鋭利な牙を刺して差し上げまちゅわ。」
「この注射器で凶悪で腐りきった血を吸い取ってやるぢゃん。こわいけと、仕方ないぢゃん。びちゃ。」
注射器に薄く赤い色の液体が溜まってきた。
「またお漏らししてまちゅわ。いい歳して恥ずかしいでちゅわ。プププ。」
「お漏らししてるけど、おし●こじゃないもんぢゃん!」
吝奈、木憂華ともに、両目に帯状の黒い影を落として邪悪な目つきになっている。木憂華は吝奈の腰にロープを付けて引っ張ってもらった。冗長な様子であるが、ふたりに比べればオトナな昆太はじっと待機。
ふたりは牙、注射器という武器を構えて十分に警戒しながら昆太との間合いを詰めていく。
「キューリー夫人博士さん、イチニノサンで行きまちゅわよ。」
「わかったぢゃん。Qは運動神経が鈍いから声を合わせるちゃん。」
「「イチニノサン!」」
ふたりは昆太に飛びかかるが、身長差で圧倒され、頭を掴まれて、バッタのようにジタバタしている。
「かわいい!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「悔しいでちゅわ。ワタクチがもっと身長が高ければでちゅわ~。」
「小学千五年生になれば、あんちゃんを抜いてやるぢゃん。」
悔しそうなふたりであるが、幕内力士と序の口レベルの差がある。




