プロローグ
人類史上、ロリコンは普遍的に排除される。この国で『ロリコンは社会から抹殺する』という憲法が制定されていた。
「一般女子なんて、ゴミクズだ。ロリが最高ですべて。ワンフォーロリ、ロリフォーワン。俺にとって、ロリ以外の女子は女ではない!」
普通の長さの黒い髪に、緑ぶちのメガネの高校生男子楼李昆太。
中肉中背で、黒い学ランを身に纏い、自分の高校前で登校する生徒にプラスチック製の安物メガホンで自己主張を重ねている。
「学校のみんな、聞いてくれ。今日、俺はここに宣言する。俺は絶対にロリ王になり、この国をロリだけを愛する男子だけの王国にするんだ!」
こんなバカげた宣言に耳を傾ける生徒などおらず、逆に警察に通報されてしまった。
けたたましくサイレンを吠えさせてパトカーがやってきて、数人の警官を降ろした。
「楼李昆太、ロリコン抹殺条文により逮捕する。」
「こんな憲法は憲法違反だ。憲法が憲法に違反するというのは論理的におかしいけど。ええい。やめろ~!俺は犯罪なんて犯してないぞ。タイホはイヤだ~。」
昆太の叫びは、サイレンの音にかき消されていた。
「やかましい。静かにしろ!」
「いやだ!俺はロリ王になる義務があるんだ~!」
エンジン音のうるさいパトカーが、ドアを開いて今にも出発したいと汚い排気ガスを噴いている。
「ほら、後部座席に乗るんだ。」
警官が昆太の背中を強く押した。
「やめろ~!!!」
その時、突然黒い光から昆太から発せられた。
『ズキュ~ン!!!』
昆太は絶叫と共に忽然と姿がなくなっていた。
今日は3月1日で、春というにはまだ早く肌寒い季節である。