とある田舎娘からの手紙~拝啓 故郷のお母様へ~
現時点ではネタ。というわけで短編投稿です。
現在連載中の「メモリー」に注力中のため、気が向いたら続きを書こうかな~、くらいに考えています。
拝啓 故郷のお母様へ
故郷のお母様、お元気ですか?
突然いなくなってごめんなさい。貴女の愛する娘は、ただいま王都に来ております!王都ですよ!王都!都会です!田舎にはないものがいっぱいあって、もう目が回りそう!ああ、お母様にも見せて差し上げたい。
ごめんなさい。つい興奮してしまいました。
愚かな娘をさぞ心配しておいででしょう。まずは順を追って説明します。
胡桃月の初めです。森で薬草を摘んでおいでっておっしゃったでしょう?ええ、私は森に行きました。そうしたらね、とっても青白い顔の男の人に出会いましたの。具合が悪そうなのに、一人で森を彷徨っておられたので、そう、最初は森の外までお送りするつもりだったのです。だって、困っている方を放置するわけにはまいりませんでしょう?
その方に肩を貸して、森を出ました。そうしたら、お母様、落ち着いて聞いてくださいまし。なんと私、告白されたのですわ!生まれてこのかた恋愛にご縁などなかった私が!
ご安心くださいまし、お母様。彼は白髪のお爺さんでもなければ幼児でもありません!私と同じ年頃のそれはそれは綺麗な男性なのです。それにとっても優しい方なの!ここで頷かねば、もう二度とチャンスは巡って来ないかもしれません。まさに千載一遇のチャンス!天からのプレゼント!
そんなわけでお母様、私、彼とおつきあいすることにしました。喜んでくださいまし。お嫁に行くなんて想像すらできなかった不肖の娘がイケメンの旦那様候補を見つけたのですよ!
ああ、また興奮してしまいました。話を続けます。お母様に紹介しようと彼と森を出たのですが、突然巨大トンビの魔物が私たち目がけて急降下してきたのです!あの鋭い鉤爪にやられたら、私たちなどひとたまりもないでしょう。それを!あの方は身を挺して庇って下さったのです。命をかけて!大事なことなのでもう一度書きます。命がけで私を守ってくれたのです。
目を開けたら、魔物は消えていました。そして、なんということでしょう。あの方が首だけになっていたのです。首から下の胴体が、綺麗さっぱりないのです。
お母様?ホラーではありません。グッとこらえてこの先もお読みくださいませ。彼はちゃんと生きていますし、のほほんとお喋りもするのです。血は一滴も出ていません。本当に忽然と、体だけが消えてしまったのです。
これはきっとあのトンビめが、彼に悪い魔法をかけたに違いありません。そして、彼がこうなってしまったのは、無用心だった私にも大いに責任があります。彼を元の体に戻す方法を探そうと決めました。けれど、田舎者の私は魔物のことも魔法のことも、よくわかりません。ですから、私は王都に行くことにしたのです。都会なら魔物や魔法に詳しい方がいるかもしれませんもの。
今は首だけのヒモ男ですが、必ずや元の体に戻し、お母様がいつもおっしゃっている娘の理想の相手、馬車馬のように働くお婿さんにして連れて帰ってみせますわ。ですからお母様、どうかそれまでもう少し、待っていて下さいませ。
王都から愛をこめて。
貴女の愛する娘 ソフィアより
ブランディア王国王都。王都から出される手紙を検閲していた兵士は、便箋4枚にもわたる大長編な手紙に目をこすった。
「なんだこれ?」
読んでいただき、ありがとうございましたm(._.)m




