第4話
僕が目を覚ましてから、早くも一ヶ月が経とうとしていた。この間に色々なことがあった。
まずはじめに、車両事故を起こした双方の運転手(事故の割には比較的に軽傷で済んだらしい)が訪れて土下座で謝罪された。
事故の原因となったのは右折しようとした車が直進車に気がつかずに右折を始めたかららしい。エアコンが故障していて近くの修理工場に持っていこうとしていたらしい。ああ、めちゃくちゃ暑かったもんね。ボーッとしたんだろうね。飛んできたタイヤは直進車の物で、今朝方パンクしていてスペアタイヤとかいうものに変えていたらしい。ナットの締め付けが緩かったらしい。
なんだかなぁとは思ったけども。まあ手術費用とかその他諸々は2人の保険から出るようだし、こうして無事?に生きていられるんだし。今後気をつけてもらえればという事と、警察には正直に話してくださいという事で終わりにした。
その後は一応警察に行って調書とかいうのを取られた。
とはいえ僕に答えられるのは、気が付いたときには女の子を庇っていた事ぐらいで他には特になかった。
その件の女の子だけど、何回かお見舞いに来てくれていたらしい。変な空間にいた時の映像では全くわからなかったけど、病室の前まで来たけど結局中には入ってこなかったとか。流石に自分を庇って大怪我した相手のお見舞いって来にくいよね。仕方ない。
とまあそんなこんなで気ままに過ごしていたらいつの間にやら地方新聞の記事になっていた。訳がわからない。
退院の日に、奇跡的な回復を記念してって集合写真みたいなのをとったけどまさかそれがこうなるなんて思う訳ないって。というか母がコメント的なの出してるんだけどどういうこと?何も聞いてないよ僕は。
うわー、コレ絶対休み明けにからかわれるやつだよ。いやまあ、変に気を使われてギクシャクするよりはマシなんだけども。ぐぬぬ。
とまあそんなこんながあったせいか、夏休み後半は友人と遊ぶ回数も少なかったかな。一応病み上がりだし。
ただ、休みが終わりに近づくにつれて身の回りで変なことが起き始めたことは勘弁してほしい。
まず一つ、幽霊的なものが見えるようになった。
なんか訳の分からん生物?ナマモノ?例のブレスレットの如く、他の人には見えていないみたいなんだけども。
真っ白の毛玉のような毛むくじゃらの奴がふわふわ浮いていることがある。しかも懐かれてるのか時折群がってくるときがある。
でもコレで反応返したら変な人一直線だし無視をするに限る、動きが可愛いから物凄く罪悪感を覚えるけど仕方ないよね。
そうして迎えた9月1日、二学期始業式の朝。
やっぱりというか、なんというか。
あまり話したことのなかったクラスメイトとかからも新聞の記事のことで聞かれていた。
「勇気ある少年、奇跡の回復!たすけられた少女の祈りがもたらしたものか?」なんて見出し付いてたら、僕らぐらいの年代だと良い話のネタだもんね。
ワイワイ盛り上がられると気恥ずかしいし、なんで助かったも明らかにはなってないから余計に色々聞かれるし。
たちが悪いことにお姫様のキスで目覚めた王子様とか言ってきた女子のせいで男子連中からは殊更にからかわれたしね!まあ、お世辞でも王子と呼んでくれたことは嬉しいけど。お世辞でも!
それにしても案の定というか、この右腕のブレスレットに付いて聞いてくる人は誰もいないか。これ全然外せないからさ、流石に学校にもこのままってマズイかなとか思わなかったり思ったり。装飾品とか没収されちゃうよなぁって心配は無用だったみたいだね。
「おまえら、さっさと席につけよ。二学期が始まったんだから、いつまでも夏休み気分はダメだぞ。」
担任の猿野先生がチャイム後にやってきた。
まだまだ暑いのにスーツをきっちりと着こなしてる姿は見てるこっちが暑くなりそうだ。物静かでどこか怖い印象がある人だけど、意外と生徒からの評判はいいんだよね。
「遠藤康太、夏休み中は大変だったみたいだな。一月経っているとはいえ、体調が悪くなった時はすぐに申し出るように。」
こういうとこだよねぇ、気遣いというか面倒見がいいというか。無表情がデフォみたいな人だけど、ハンサムな顔立ちも合わさってうちの学校の女子人気ナンバーワン、もっというと男子からの人気も高いもんね。羨ましい。
僕も例に漏れず良い先生だなぁと思ってるから素直に言うことは聞くよもちろん、片手を上げつつ返事をしたよ。
あれ?今一瞬驚いた表情をしたような?気のせいかな?
あの猿野先生が表情を変えるところなんて誰も見たことないし。