悪魔のような天使・デートを邪魔する その壱
どうも皆さんこんにちは藤武です。
コメントお待ちしてます。
日曜日、午前十時、駅前で彼女である真紀を待つ隆平。
今日はデートとして、水族館に行く予定になっている。
そわそわと落ち着きのない様子で辺りを見回す。
少し離れた電信柱の裏、隆平の様子を伺うサングラスをかけた一人の男。
不審者のような格好で、いかにも通報されそうだが誰一人として見向きもしない。
見えていないのだ。
彼は変装したミカエラである。
一般人に姿の見えない彼が変装する必要はないのではないかと思う人もいるだろう。
しかし、彼の姿は隆平にのみ見えるのだ。
彼の計画はこうだ。
一日彼のデートにこっそりと同行し、なにか困っていることがあったら助ける。
そう、ミカエラは本当に改心したのだ。
心のそこから反省しているし、天界に戻りたい、そう思っている。
しかし、隆平はそんなことは知らない。
ただの迷惑な天使だとしか思っていない。
いや、悪魔だとすら思っている。
そんなミカエラの横を見覚えのある女性が通りすぎた。
「隆ちゃん、待った?」
待った。
彼は充分待った。
現在時刻は十一時、待ち合わせ時刻は十時。
一時間の遅刻である。
怒っても良いだろう、むしろ怒るべきなのである。
しかし、隆平は許した。
それほどに今日の真紀は美しかった。
天使のように。
怒っているのはミカエラである。
隆平を待たせたあの女に天罰を。
隆平と共に歩き出した、真紀に背後から忍び寄るミカエラ。
不意に隆平が振り返る。
咄嗟に横の柱に身を隠すミカエラ。
よく見ていれば気づいていたかもしれないが、
隆平には真紀以外のものが目に写っていなかったため、全く気がつかない。
結局なにもすることはできず、目的地へと到着してしまった。
水族館のチケットを買い、ゲートから入る二人。
姿の見えないミカエラはチケットを買う必要もなく二人をおっていく。
立派な犯罪である。
しかしミカエラは、自分が堕天に一歩近づいたことなど知らずに奥へ奥へと侵入していく。
ゲートを越えるとそこは別世界だった。
ミカエラは人間界のことなど知らない。
さらに天界には海など無いから、魚なんて知らない。
見たことの無い幻想的な生物に見とれてしまった。
気づくと二人を見失っていた。
再び隆平らを見つけたのはフードコートでだった。
二人は仲良くカレーを食べていた。
「隆ちゃんは辛いの好き?私は嫌いなの。」
ミカエラは今の真紀の言葉を聞いてラッキーだと思った。
真紀が水をとりに、席をたつ。
それを追う形で隆平も席をたった。
それを見てミカエラは机に歩みより、あらかじめバックに入っていたタバスコを大量に振り掛ける。
また堕天に一歩近づけると、そそくさと退散していく。
席に戻り、カレーを口に運んだ真紀は俯いて手を止めた。
「隆ちゃん、最低…。」
突如浴びせられた最低という言葉。
隆平とミカエラは困惑した。
ご愛読ありがとうございました。誤字脱字は感想にお願いします。