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第6話 桜が舞い降りた

注意︰この物語はフィクション(創作)です。実在の地名を使用している(日本など)等々ありますが、実在の地名、人物などとは無関係です。あくまで作者たかゆきの創作でございますのでご了承ください。なお実在の人物や場所を誹謗中傷する目的もありません。読者の方々も誹謗中傷などはご遠慮ください。

「私たちは天使と交わった人間、とされているの。」


「は?」


鈴月の突然の言葉に文助は驚いた。


「天使って、なんだ?」


そもそもこの状態からである。天使など文助のいた江戸では元々無い概念であった。


「えーっと、神様の召使いとか、そんな感じかしら。」


「そいつらと交わったってのは?」


その質問に鈴月は顔を赤くした。


「文助、、それは乙女に聞く質問じゃないわ、、」


しかし文助は不思議そうな顔をした。



「そうなのか?だがお前が乙女というのは何かの冗談、、

「ふん!」


その瞬間、歯がえぐれ肉が潰れる音がした直後文助は吹っ飛んだ。



「ごほっ!」


「あら、ごめんなさーい」


文助は鈴月に殴られ、口と鼻から血を出しながら立ち上がった。



「な、なるほど。よくわかった。」


「それでよし。後は授業で詳しく教えてもらえるわ。」




ぐーっ、、ぐーっ



お腹の虫が鳴る。だがそれは1人のものではなく、デュエットを奏でていた。


「お前、腹が減ってたのか。同じだな。」


文助が鼻血をダラダラ流しながら言った。


「う、うるさいわね!」


「恥じることは無い。だが腹が減ったままはよろしくない。何か飯を食える店に連れてってくれ。」


「いいけど、お金は?」


すると文助は和服の中から小さな巾着を取り出した。振るとガチャガチャという音がした。


「よし、そしたら案内の続きはまた今度ね。じゃあ行きましょうか。」


鈴月はすぐに巾着を奪い、練習場の出口へと歩き始めた。


「あっ、、」


文助は所持金を瞬く間に奪われてしまった。






-街中にて。


「ここらへんに私の行きつけの店があるわ。ガラは悪いけど、とてもおいしい料理ばかりよ。」


文助はそれを聞いて興奮した。


「おぉそいつは楽しみだな、俺は食べることが何より好きなんだ!」


文助は声を荒らげて喜んだ。文助の食好きはたとえ日本そのものが変わろうとも同じであった。


「そ、そうなのね。」


一方鈴月はその様子にたじたじである。






ー十分ほど歩いた時


「なぁ、まだなのか?ここらへんって言ってたのは嘘か?」


文助は美味しいものが食べたくて我慢出来ないようだ。だるそうな顔をしながら歩いている。


「我慢しなさいよ、この店を教えるのはあなたが初めてなんだから。」


愚痴る文助をよそに、鈴月はにぎやかな街を歩いていた。




店が近づき、少し薄暗い道に入ったときだった。2人の目の前に女の子1人とガラの悪そうな男が4人、いるのが見えた。


「ちょ、あれって、」


鈴月が怪訝な顔をする。明らかに危ない雰囲気だった。


「あぁ、わかっている。」


文助はそうつぶやくと1人路地に入っていく。鈴月はあとからついていった。



文助が男達のもとに歩いていき、1番近くにいた男の肩に手を置いた。


男はそれなりに体を鍛えていると思われる体格をしていた。


「おい、その子を解放してやれ。」


文助がそう言うと男は振り向き、ヤンキーのお手本のような威嚇の顔をする。


「う?∇仝::@/$仝〇?」


「あ、あぁ!?なんだ?」


急に男達が意味不明の言葉を喋り始めたため文助は驚いて目を見開いた。文助の目には一瞬頭のおかしいやつらに見えた。


「文助、、こいつらは古期和語なんか話せっこないわ。こいつらが話してるのは現代和語よ。」



鈴月はそう言うとあの男達の使っていたわけのわからない言語を話し始めた。


「%¥@¥¥¥#☆₩〒◇!!」


声の荒げようからして鈴月も女の子を解放してやるように言ったのだろう。


すると男達は仲間同士何かを言いながら、納得したように何度か頷いた。すると急に文助の服を掴んだ。


(お、なんだなんだ)


文助の目には頭の変なガラの悪いやつらがふざけているようにしか見えなく、むしろ笑えてくる光景だった。



「こいつらは、、俺を威嚇してるってことでいいのか、、?」


文助が少しにやけながら鈴月に聞いた。


「そう捉えていいわよ。」


そう言いながら鈴月はニコッと微笑んだ。だが、目は笑っていなかった。


文助は男の顔を見る。


「あれ、この人、、」


男の後ろにいた女の子はふと小声で呟いたが、文助と鈴月には聞こえていないようだった。


「ばぁ?&ゝゞ ̄ ̄ ̄¨_仝〆/!?」


そして男はなおも威嚇しているようだ。言葉は通じなくても緊迫した空気なのはお互いに察している。

文助の表情もさすがに強ばってきた。


「言葉が通じないのはしょうがないとしよう。だがお前のその態度が気に食わん。手を離せ。」


そして文助は、高圧的なその男の手を力ずくではがそうとした。



するとその抵抗に反応し、男がついに殴りかかってきた。


文助はその拳に素早く気づき、反応しようと構えをとる。





次の瞬間、男は吹っ飛んでいた。


横にいた鈴月はやれやれというような顔をしている。文助に喧嘩を売るなんてというような顔だった。もちろん文助が反撃したものだろうと思っている顔だ。






だが、文助の反応はおかしかった。



「な、なに!?」


文助は驚いていた。そう、彼がやったのではなかったのだ。


「いい加減にしなよ糞野郎共!!!」


叫んだのは先程まで男達に囲まれていた女の子だ。


あろうことか当初絡まれていた華奢な女の子が、大の男を引っ張り吹っ飛ばしたのだ。


(ま、まさか、あの幼子が!?大の男を後ろから引っ張って吹き飛ばしたのか?)


文助は驚き、掴んできた男のせいで服が少し乱れたことも気にしなかった。

鈴月も目を丸くしてその光景を見ている。


「ぐ、ぐく!?」


他の男達3人はとてもびっくりした様子だった。先程まで自分らが威圧していた人間に威圧される状況になってしまったのだ。しかもその相手は女の子である。



「ふん、糞野郎共め!私の運命の人に手を出すとは、いい度胸じゃないの!私の鉄拳を食らって眠れ!」


するとその女は3人の男達をあっという間に叩きのめした。


華奢な腕からは想像もできないほどの怪力であった。


(つ、強い、、怪力小娘だ、、)


文助と鈴月はいまだに目を丸くしていた。





男4人をのばした女の子は次に文助の元へ駆け寄ってきた。


文助は女の子の戦いぶりを見ていたため思わず手を少し上げ戦闘態勢をとっていたが、駆け寄ってきた女の子の言葉は予想外のものだった。



「ダーリン!いや、あなたでもいいわね、まぁとにかく!ようやく会えたわ!」


女の子は先ほどの殺気はどこへやら、打って変わって目をキラキラさせて自分より背の高い文助を見上げた。上目遣いというやつだ。



「し、知り合いなの、文助。」


鈴月が呆気にとられ文助に聞いた。



「し、知らん、なんだお前は、、」


文助の言葉を聞いて女は落胆した様子を見せた。しかしもちろん文助はこの国に知り合いがいるわけがない。このおかしい女の子も文助にとってはいまさっき出会ったばかりの少女だ。



「私、桜・キミリアよ。」


文助には聞き覚えのない名前だったが、女の子はまだ希望を捨てずに文助を見つめていた。


「そんな名前は聞いたことがないぞ。」


文助が答えると桜と名乗った女は涙目になった。もはや文助には不明点が多すぎた。


(な、なんだこいつ、、やばい、関わらなきゃよかったか、、)






すると、鈴月が会話に入ってきた。


「待ってあなた、フォーリンエンジェルとの混血家(こんけつか)?」


鈴月には多少の心当たりがあるらしい。


「うるさいわ羽虫!私とダーリンの会話を邪魔しないで!」


急に少女がヒステリックを起こした。鈴月に話しかけられたのがよほど気に入らなかったらしい。


「なっ」


鈴月は桜の言葉に驚いたもののすぐに怒り始めた。


「いきなり何よ!あなたこそ初対面でダーリンとか、何言ってんのイカれ女!」


「なにー!?聞き捨てならないわね汗臭女!」


確かに鈴月はさっきまで文助と手合わせをしていた。分厚い鎧を着ているとなれば汗をかくのも自然なことである。

確かに少し汗臭いかもと思った文助だが、何も言わないことを選んだ。


そんなこんなで2人の喧嘩が白熱したところで文助が止めに入った。


「ま、まぁまぁ2人とも落ち着け。桜といったな、お前は何者だ?」



「お、覚えてないの!?本当に?」


桜はまるで数年来の親友に忘れられたかのごとく驚いていた。



「あ、あぁ、すまない。俺の境遇上、お前と面識があるのはありえないんだが。」





しかしそこで桜が衝撃の一言を言う。



「そんな、、私たち、何回も会って愛し合った仲じゃない!」



「、、え?」

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