第一話 誕生
この世界は神々によって作られた。
いくつもの神々がこの世界には存在する。
太陽の神、月の神、火の神、水の神、龍の神、犬の神、物の神、、、
様々な神々の集まる場所。それが「天界」。
神々は下界を日々見守り、下界の秩序と平和を守っている。
これは、その天界でおきた大事件の物語―
約8000年前―
「おぎゃあ、おぎゃー」
深みのある真っ赤な深紅の髪に、孔雀の美しい青緑の羽のような鮮やかな青緑の瞳をした赤子が泣いている。
「産まれた…産まれたのね。私たちのこども…」
「あぁ僕たちの2人目のこどもだ。紅龍は僕に似ていたが、この子は紅麗、君にそっくりだよ…」
「ふふっ。名前はどうしようかしら。
紅龍はあなたに似てたから、あなたのように強くたくましい龍の神になってほしかったから紅龍にした…
この子は…」
「紅炎。この子の名前は紅炎だ。」
「どーして?」
「この子は君にそっくりだ。しっかりと君と同じ太陽の魔力を受け継いでいる。この子には君のような優しくて、みんなのために尽くせる太陽神になってほしい。そう願いをこめて紅炎にしたんだ…」
「ふふっ。いい名前ね。紅炎か…」
「紅龍と紅炎、2人がいずれ天界や下界を守っていく立派な神になるのが楽しみだよ。」
この日、《太陽神》紅麗と《龍の神》天青との間に紅炎という子が産まれた。これが全ての始まりだった。
まだこの時は、誰も、紅炎が天界の歴史史上最も忌まわしい大事件の中心人物として語り継がれていくことになるとは知るよしも無かった―