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第31話 壊れた平穏

書くペースを上げたいと思う、今日この頃。

毎日更新してる方々が羨ましく思って仕方がない限りです。

さて、今回はかなり飛ばしてます。

 初夏の爽やかな風が吹き抜ける午前3時、世間じゃおやつの時間だなんて言われている。だが、俺が喰らったのはおやつではなく全身へのダメージだった。

「ぬおおおおおお……体が痛いッ!!」首を動かせば、全身に糸が張られたように攣る。どうやら光化状態は身体への負担がこれまで以上に強くかかるようであった。

「だ、大丈夫か?」孝に言われ、口を開く代わりにサムズアップ。全く、こちらに来てからかなりの頻度で肉体を酷使しているような気がしてならないのだが、まぁしょうがないか。

「す、済まん……少々無茶が過ぎたようだ」

 ヴァン達との勝負の後、再び俺は盛大にぶっ倒れた。とはいえ、今度は意識がある状態でそれだから、水平を捉えていた視界がグイッとパンして青空バックに白雲がドーンする羽目で済んだのだが。それに何とか直ぐ復活して、今はこうして直射日光の当たらない場所で保存、もとい休憩している訳である。

 ちなみに、俺達のチームは勝利こそしたものの、俺個人の評価はダダ下がりだった。曰く、ワンマンプレーが過ぎたのがいけなかっようだ。成程、そういう意味ではヴァン達の勝ちか。

「そういや、ヴァンはどこに行ったんだっけ?」

「僕はここだよ」

「のわぁっ!?」

 背後から声を掛けられひっくり返りそうになった。おのれ、気配を感じなかったぞ!

「そんな驚かなくても……」

「急に後ろから話しかけられるとびっくりするんだよ。それはともかく、お前、特に傷もなくピンピンしてるな。顎とか大丈夫なのか?」

「多少は手加減してくれたんだろう?それに、瞬時に体を逸らして出来るだけ衝撃を逃したからね」

 ほう、あの状況でそれが出来るとはな。やはりこいつは今まで戦ってきた奴の中で別格だ。

「まぁ、これで互いに一勝一敗だ。もし次があれば、本気でやり合いたいもんだな」

「ふふ、出来れば遠慮したいところだけどね。君との勝負は、予想外の事が多すぎる」

「真剣勝負の場なら、想定外のインシデントにどう対処するかが重要になってくるだろ?お前は十分強いよ」

「ありがとう。おっと、もう終礼の時間か。早く並ばないとね」そう言って、ヴァンは元のクラスへ戻っていった。

「……アイン、お前いつ奴とそこまで……」孝が怪訝そうに聞いてくる。

「どうした、嫉妬か?」

「んなわけあるか気持ち悪ィ!そうじゃなくて、前に言っただろ?あいつはヤバいって」

「確かに、戦闘能力は一級品だな」

「そういう事を言ってるんじゃねぇ。あの手の奴は何を考えてるか分からねぇもんだろ」

 あぁ、それか。そういう意味なら、孝の発言は正しい。ヴァンの真意は読めない。正直アイツに頼るのはよっぽど切羽詰まった時以外は避けたいとは思う。しかし、これは幸運でもあった。

「逆に考えれば、ヴァンほどの強者が同学年に居たのは僥倖だ。鍛錬としてこれほど充実している相手はそう見つからねぇからな」

「……お前も転校初日から随分変わったよなぁ」

「本性がこうなのかも知れねぇな。まぁ、ガチンコ勝負でいいなら孝も相手にしてやるぜ?」

「考えとく。一生無いだろうけどな」


 そんなこんなでニ週間経ち、俺の学生生活にも変化が訪れた。

「……しゃっ!」

「ぐへぇっ……!」

 一つは、毎日他の学生に絡まれるようになった事。この学園では2人以上の立会人が居るという条件を満たせば私闘が許されるとかいう前時代はおろか人類史上最もカッ飛んだ校則が存在している。学校側曰く、「生徒のスキルアップの機会は多い方が良い」という理由でこうなったらしい。

「アイノ生徒の勝利~!!」

 後ろでワアッと歓声が挙がる。因みに今倒したのは騎士科3年の先輩男子で、俺に勝負をかけた理由が「ユアと親しいから」であった。こんなしょうもない動機だが、流石に腕は立つようで、先の一撃がかわされればどうなっていたか分からなかったと思う。

「く、くそっ……悔しいっ……」

「そこまで本気で悔しがらんで下さいよ。何なら、俺からユアにちょっとばかし紹介しても……」

「それはならん……俺一人がさような便宜を受けては、会員たちを裏切ってしまう!『エルシアさんを慕う会』掟その5、『抜け駆け禁止』だ……」

 め、面倒くせぇな!とりあえず、変な組織を作られてる事をユアに知らせてやろうか悩ましいな……。

「……まぁ、俺個人の感想としては楽しかったよ。また機会があれば勝負しよう」

「……ふん、次こそは貴様を打ち倒してくれるわ」

 互いに右手を差し出し、シェイク・ハンズ。怨敵でなく強敵手として、フェアプレー精神は忘れてはいけないだろう。

 彼と別れ、教室に戻った俺は机に突っ伏す。

「お疲れさんだな、アイノ。全く、お前の精神構造はどうなってるんだ?」呆れ笑いを浮かべたアルバートが、大して興味なさげに質問してくる。

「どこにでもいる普通の男の子、そのものだ。さて、ようやく飯にありつけるぜ」

 丁度昨日、シフさんが退院したのでその祝いとして大量の夕食が出た。本日はその残りを詰めた弁当が俺の昼食だ。

「毎日大変だな。授業に家事に、生徒会もあるんだろ?」

「生徒会つったって、やってることはパシリと大して変わんねーよ。考えなくていい代わりに体が余計疲れるだけだ」

「尚更無茶だな、そりゃ」

「だからこそ、この美食にありつけるのが唯一無二の癒しだぜ」

「そこまで大げさに言う事じゃねえだろ。どうせそれもお前が作ったんだろうし」

「いや、このおかず達はユアが作ってくれたんだ。それ故美味いのかもな」

「……俺、さっきお前が倒した人の気持ちが分かる気がするぜ……」

 ぶつくさ意味の分からない事を呟くアルバートを無視して、弁当箱の隅まで綺麗に食べ終えた。


 二つ目、これは予想外の事態だ。今朝靴箱を開けてみたら、とんでもないものが入っていた。

「………………」

 本来そこに入っていてはおかしいものだ。簡潔に言えば、恋文である。内容はこうだ。『お話ししたいことがあります。本日午後6時に第二実験室に来てください』これだけだ。

「さて、どうしてくれようか……」

 下手に断って相手を傷つけるのは俺の望むところじゃないし、かといって放置していてはこじれた関係性に尾びれがついて事態が悪化しかねない。というか、誰だ差出人は。

 この件は相談する相手を選ばざるを得ないだろう。まずユアは真っ先にアウトだ。一歩間違えばヨットの新型で海行きかねんからな。後は何となくだが、楓も相談相手としては不適か。一度帰ってから戻る時間を考えると、マイさんと亜理素も外れるな。メグはこんな話を聞いても回答しにくいだろうし、アーヴェント姉妹とアルバートは口が軽そうだから却下。孝は口こそ固いものの色恋沙汰は慣れてないようだし、文乃も真剣に考えてしまうかもしれないな。

「どうせ悪戯だろうがな」

 念には念を、というやつだ。仕方ない、あの男を頼るか。


「……という訳だ。お前はどう思う?」

「どう、と言われてもね。僕もここ最近は差出人に会いに行ってはないから、お力添えにはなれないかな」

 放課後、教室から帰ろうとするヴァンを引き止める。やはり人気のない階段の奥へ連れ出し、カバンからラブレター(暫定)を取り出して見せたが、この反応である。

「でもお前、ずっと女子から人気なんだろ?対応はどうなってるんだ?」

「最初は一人づつ断ってはいたんだけどね。一度、ある女の子に『しばらくは勉学に集中したい』って言ったら、その子が周りに広めてくれたらしいんだ」

「なるほど、後は勝手に女子が自重してくれたと」

 イケメンはこれが普通と思ってるフシがあるから困るんだよなぁ。

「まぁ、万が一本物だったらお前の言う通りにしてみるよ」

「大丈夫だよ、アインみたいなワイルド系男子が好きな子って結構いるみたいだから」

「その発言は嬉しいととるべきか、単なるお世辞ととるべきか……」

 あ、ちなみに階段を降りた時に、一人の女子生徒から俺とヴァンに向けて何だか危険な視線を感じました。安心しろ、間違ってもそのルートだけはないからな?

いい加減前書きと後書きを書いて行った方が良いんでしょうか。

そんな事を思いながら、次回へ続く。

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