最年少兵士
本日2話目の投稿です。
「おはよう、エルド君。昨日はよく眠れた?」
「ああ、おはようメイル。まあまあかな」
エルドは兵士団達の中でも一番の早起きで、朝早く兵士団の宿舎の掃除をしている。
「エルド君は偉いねぇ。僕が今まで最年少だったけどどうも朝は駄目でね……。今はだいぶ早く起きれる様になったけど」
「まあ、細かく言えば今もメイルが最年少だけどな。俺はまだ正式入団してないし」
「でもその調子だと正式入団も早いんじゃないかな?」
「そうか?」
「おー!はよっ、エル坊にメイル!」
「おっす、エル坊はいつも早起きで偉いなぁ~」
「おはよう……って、ガキ扱いするなよ!」
メイルはエルドをじっと見つめる。
「……エルド君、すっかり馴染んだね」
「まぁな……兵士団の人達が良い奴ばっかだからな」
「……。おっと、シーツを取り替えないといけないんだった。じゃあね、エルド君」
「あ、あぁ。」
……エルドは首を傾げた。
少しメイルの様子が可笑しかったからだ。
――――……
「よし、休憩!!」
昼の訓練。ガイムが大きな声で休憩を呼びかけた。
「あーーーー。疲れた」
「レイマって、なんだかんだそう言うけど実際動き鈍らないよな」
「まあ……僕の特技は『限界突破』だからね!」
「はは……」
訓練所の隅には大きな木が1本立っている。エルドとレイマはいつも休憩中、その木の下の木陰で休むのだ。
「エルド君……ちょっと良い?」
「……どうした、メイル?」
「今日、訓練が終わったら……夕方宿舎の裏に来てくれる?話したい事があるんだ」
「あぁ……別に構わないが」
「ありがとう……。待ってるから」
そう言ってメイルは去って行った。
「なんか……メイル君、この頃様子可笑しいよね?」
「あぁ、俺もそう思っていた」
「まぁ、メイル君は良い子だからね。多分大丈夫だと思うけど」
「そうだな……」
ーーーー……
「……お待たせ、メイル」
「あぁエルド君、待ってたよ」
「で、なんの用だ?」
「そう……だね。エルド君……
魔族って、どう思う?」
「魔族?……俺達人間を侮辱して見下す、人間の敵って教わったが」
「……エルド君から見たイメージはどんな感じなのかな?」
「俺……?まぁ、実際に見た事も無いから何とも言えないが……戦争じゃなくて話し合いで解決出来たら良いんじゃねぇのかな、とは思う」
「……そっか……。
――――変わってないね、君は……。」
「は?」
「ん、ありがとう。それだけなんだ。じゃあね」
「ちょ、最後のはどう言う……」
メイルは意味深な言葉を残して、足早に去って行ってしまった。
「……なんなんだ」
「――――っは、はぁ……っ!!お、おいエルド!!」
「な、なんだよガイム?そんなに慌てて……」
「さ、さっきの……部隊長会議で……!!
――――お前の正式入団が決まったぞ!!
史上最年少の入団だ!!」