第9話 旅立ち
魔法属性の土を入れ忘れていたので追加しました。前話の魔法説明にも追加しました。よろしくお願いしますm(._.)m
翌日、俺とアクアは森の出口に来ていた。
いま一馬が持っているものは、銀貨が70枚と頭まですっぽり被る様な黒ローブ、それに水と食料。
銀貨はアクアがあらかじめ用意してくれいたらしく出口に着いた時にわたされた。
なんでも知り合いに譲ってもらったらしい。
黒ローブは一馬の容貌が目立ち過ぎるという事でほぼ強制的に渡された。
鏡などないので一馬は気付いてないが、今の一馬の顔はイケメンの領域を超えている。
体つきも毎日トレーニングを続けてきたので、程よく筋肉が付いており10人の女性が10人振り返るであろう容貌である。
「カズマ、いい?貴方は龍神。でも龍神の事は言わない方がいい。貴方が今から向かう人間族の国は龍神が邪神として扱われてる宗教を信仰してる。もし龍神のことがバレたら大変な事になるわ」
「分かった。アクア、今までありがとうな。お前のおかげで外に出る決心もついたし、何より楽しい時間を過ごす事ができた」
「止めてよもう。別に会えないってわけじゃないんだから」
「そうだったな…必ず帰ってくる」
「絶対よ」
「ああ。じゃ、行ってくる」
俺はアクアに背を向けて目的地の方向に向かって走る。
「異世界に来て初めての街…ワクワクするな」
そう言いながら一馬は走るスピードを上げた。
数時間後……
「おかしい…なんでだ?」
一馬は迷っていた。
一馬はあの後ひたすら目的地の方向に向かっていた。しかしいくらたっても街らしいものは見当たらずただただ草原が広がっていた。
「アクアからもらった地図ではこっちであってる筈なんだが」
だがそれもそのはず。
アクアからもらった地図は200年前の地図。
200年前の地図には一馬が向かっている方向に街が示されているが、街が変わらずそこにあるわけがない。ある所もあるのだろうが、残念ながら目的地はそこにないらしい。
何故そんな昔の地図なのかというと、只単にアクアが間違えて違う地図を渡してしまったのだ。
そんなことに気づくはずもない一馬。
「ぐぬぬぬ。早速迷ってるし…。どうしよう…何も見当らないし」
うーん…と唸っていると、一馬の耳に何か金属が打ち付け合う様な音が聞こえた。
「ん?なんだ?」
不思議に思った一馬は耳を澄ませる。
カキィィィン……カシャァン……
やはり何か聞こえる。
「なんだろう?行ってみるか」
一馬は地図をなおすと音のする方に向かって走り出した。
龍神の森から少し離れた草原。
そこではなにやら防具に身をつつんだ男と、ローブを着込んだ魔法使いがグリフォンの群れと戦っていた。
「うおおおおおお!!」
男は雄叫びをあげながらその手に握っている大剣をグリフォンめがけて振り下ろす。
だがグリフォンはそれを避け、男の脇腹を鉤爪で蹴りつけた。
「ぐうううっ!!」
「どいて!」
魔法使いがそう叫ぶと、男はその場を飛び退く。
「我が命ずる…汝、我が矛となり障害となるものを焼き払い討ち滅ぼせ!!地獄の業火!」
グリフォンの集団の足下から炎が燃え上がる。
だが攻撃をくらったのは僅か2匹、残りのグリフォンは空を飛び回避した。
「ぐ………!」
魔法使いが膝をつく。恐らく魔力切れだろう。
「リリア!」
男は魔法使いに走り寄り、体を支える。
「ごめんなさい、ガルズ。さっきのクエストの所為で魔力切れだわ…」
もはや魔法使いの顔は真っ青を通り越し、真っ白だ。
目の前にはグリフォンの集団。
もう駄目か…男が諦めかけた時……
「ちょぉぉぉぉっと待ったぁァァァ!!!」
何処からか声が聞こえる。
何事かと男は周りを見渡す。すると、目の前から黒ローブに身をつつんだ人型の何かが土煙を上げながら猛スピードでこちらにむかってくる。
「お、おい!!こっちに来るな!死んじまうぞ!!」
自分が危ないのに他人のことを心配するとは、この男はいい人なのだろう。
男は黒ローブに向かって必死に叫ぶが、黒ローブは止まるどころかさらにスピードをあげ、なんとグリフォンに向かって飛び蹴りをくらわせた。
グリフォンはそのまま吹き飛びやがて見えなくなった。
「ふう…間に合った。ギリギリセーフ」
黒ローブはそう言いながら額を腕で拭く仕草をする。
暫く男と魔法使いが固まっていると、黒ローブは手を振りながら
「あ、大丈夫ですか?おーい。あれ?返事がない、ただの屍の様だ」
と言ってきた。
その言葉で男と魔法使いが正気を戻すと、
「「えええええええええ!!??」」
草原に二人の絶叫が鳴り響いた。
ある程度話数が溜まるまで1日2話更新を目安にしたいと思います。
誤字・脱字、感想お待ちしておりますm(._.)m