第43話 第59回魔剣闘会、開始!
どうもみなさん、超絶お久しぶりです。
魔剣闘会、始まりました!
この話には力を入れていきたいと思っていたので、かなーり悩みました。
盛り上がっていきたいですね。
「さあさあやってまいりました! 第59回魔剣闘大会! 司会は毎年おなじみ! 私トリスがお送り致します!」
「「「わあああああああああ!!!」」」
観客達の歓声が闘技場全体に響き渡る。
ロフェンス闘技場には総勢300人の屈強な戦士達がひしめき合っており、その中にカズマ達はいた。
「うわっ、ちょっ……ああもうっ! むさ苦しい!!」
「すごい人だねえ~あはは」
叫ぶカズマとどこかおかしい様子のサラ。
カズマ達の周りには、顔に傷の入ったイカツイ男、ガチムチな男、男、漢。
なぜそんな状況に陥ったかというと……
「みなさん! 集まりましたか? これからブロック分けをしたいと思います!」
そう、ブロック決めをするためだ。
ブロック数はA~Eの5ブロック。
それぞれの係員が持っている箱に手を突っ込み、その中に入っているボールの色でブロックが決まる。
赤ならA、青ならB、緑ならC、黄色ならD、白ならE、といった感じだ。
試合形式は10人ずつのバトルロイヤル、それが1ブロック6試合ずつで行われる。
(しょっぱなからサラと同ブロックとかだったらヤダなあ……)
「ドーナー選手、Aブロック!」
呑気なことを考えていると早速始まった。
「グリゴル選手、Dブロック!」
「サモン選手、Cブロック!」
次々と選手達のブロックが決まっていく。
「ゼノス選手、Eブロック!」
「はぁ!? マジかよ、終わった……」
「あのゼノスと同じブロック!? マジついてねぇな…」
着々と進んでいた中、ゼノスとかいう人物のブロックが決まった途端、周りがザワザワと騒ぎ出した。
頭を抱えうずくまる者、溜息をつき肩を落としている者、様々だ。
カズマは気になってその方向を見て、絶句した。
体格的には2メートル超のムキムキマッチョマンなのだろうと思っていたのだが、噂のゼノスは……女性だったのだ。しかもものすごい美人さん。
流れるような金髪に、海よりも深い碧眼。そして何よりも目を引くのは、髪の間から見え隠れしてる長い耳。エルフだろう。
カズマにとってエルフとは、排他的であり、森の中でひっそりと暮らしている、というイメージだ。
まあ、地球での考えがこちらでも同じというわけではないのだろうが。
隣ではカズマ同様、サラも驚いて固まっている。
その張本人であるゼノスは気にも留めない様子だ。そしてその場を立ち去ろうとし……動きを止めた。
その視線の先には、カズマとサラ。
碧い瞳は見開かれ、プルプルと震えている。
先程のクールな雰囲気は崩れ、その様はまるで産まれたての子鹿のようーーーー
「キャァァァァァァァ!!」
とかなんとか思っていたら、ゼノスは悲鳴を上げ、そのまま控え室の方にダッシュで走り去ってしまった。
「な、なんだ?」
「さぁ……?」
ゼノスが走り去った後には、ただ静寂のみが残った。
✴︎✴︎✴︎
「これから魔剣闘大会の開会式を始めたいと思います!」
ブロック決めが終わり、選手達は会場に並んでいた。
「まず初めに、ウォースレン帝国現皇帝、アドニス・アムズ・ウォースレン様から、ご挨拶です!」
赤い垂れ幕の奥から出てきたのは、いかにもワイルドな感じの男性だった。
なんというか、眼力がヤヴァイ。恐らく眼力だけで人を殺せる。
「おはよう、諸君。今回こうして盛大に魔剣闘会が開催できたこと、携わってくれた奴らに心から感謝する。あー……こういう堅苦しいの苦手だからサッサと終わらせるぞ。…………楽しんでいけぇ!!!」
「「「オオオオオオオオオ!!!」」」
「あっと、そうだ。今回は俺の娘達も観にきてるからな。選手の諸君! 熱い戦いを見せてくれよ!!」
そう言うと、アドニスはどこか達成感に満ちた顔をしながらそのまま垂れ幕の奥へと戻っていった。
その際、「お父様!」とか聞こえてきたが、恐らく聞こえたのはサラとカズマだけだろう。
「アドニス様、ありがとうございました。では、来賓の方々をご紹介したいと思います! まずはこの方! ウォースレン帝国騎士団団長、コールス・ストレッサー様です!」
「…………どうも」
純白の鎧に身を包んだ男性が立ち上がる。
騎士にしては背が低いし、声も高い。
「騎士団長をしてる、コールス・ストレッサーです。年は16。見応えのあるやつは、騎士団に勧誘するつもりだから頑張って」
「「…………」」
沈黙が会場を支配する。
それもそうだろう、自分より年下の少年に上から目線でモノを言われたのだから。
もっとも、コールスの実力は騎士団長に見合うものだが。
「え、えー、それでは次のお方に移ります。ウォースレン帝国魔術師団総長、レムテス・カースロ様です!」
「どうも〜、紹介に預かりましたレムテス・カースロです。年齢は秘密、趣味は婿探しで〜す。よろしくぅ〜」
ヒラヒラと手を振るレムテス。
ノリ的には完璧にJKだ。ちなみに見た目もボンッキュッボンッである。
「では最後に、このお方!魔神・メルナ様です!!」
シーンと会場が静寂に包まれる。
コツ……コツ……と靴が地面を叩く音が会場全体に響く。
赤い垂れ幕が揺れ、中か姿を現したのは……
「どうも皆様」
純白のローブを纏った、穏やかな笑みを浮かべた女性。
魔神・メルナ、その人だった。
✴︎✴︎✴︎
「それではこれより、魔剣闘会を開催致します!!!」
「「「ウオオオオオオ!」」」
遂に、魔剣闘会が始まった。
サラの右手には青の、カズマの右手には黄色のボールが握られている。
このボールはそれぞれのブロック戦の会場に向かった時に係員に提出することになっている。
ゾロゾロと選手達が散らばっていく。
「いよいよだな」
「……うん」
サラと同じブロックになる、という最悪の事態は避けられた。
戦う時は……本戦だ。
「まだ気にしてるのか?」
「うん……まあね」
魔神・メルナ。
先程の自己紹介の時、彼女は確実にカズマ達の方を見ていた。
直視したら飲み込まれてしまいそうな、なんだか不気味な瞳に。
「俺たちのこと、気付いてるよな」
「うん……」
「ま、まあ、今はそう言うことは忘れて、ブロック戦に集中しよう。全力でやるとやばいから気をつけないとな」
「そうだね……うん、うん……ありがとう。頑張るよ」
少しは元気になったのか、笑うサラ。
ブロック戦はA〜Eの順にここ、ロフェンス闘技場で行われる。
間も無くAブロックの予選が始まるだろう。
カズマはサラを連れて、会場を後にした。
✴︎✴︎✴︎
「サラ……やはりいたんですね」
「どうかしたの? メルナ」
「いえ、なんでもないですよ。コールス」
クスリと笑いかけるメルナ。
それだけで、後ろに控えている侍女達が顔を真っ赤にする。
コールスも同じだ。
「サラのことは薄々感づいてはいましたが、隣にいた彼は誰なのでしょう……? 気になりますね」
やけにサラと仲が良さそうだった、あの少年。
指で髪の毛をクルクルと弄りながらブツブツと独り言を呟く。
隣でコールスが怪訝な表情を浮かべているが、その様子にメルナは気付いていない。
「さて、今回はどういう結末になるのか、楽しみですね、コールス」
「うん」
大勢の選手達、エルフ、魔神、そして龍神。
過去に類を見ない最高の闘いが、今……幕を開けた。
非常に遅くなりましたが、リゼロ、アニメ化しますね。
すんごい楽しみです。




