第41話 魔剣闘会出場
どうも、作曲するのに必要不可欠な作曲ソフトが買いたくて仕方がない、頭に浮かんでる音楽を早く書きたくて仕方がない猪鹿蝶です。
作曲したいェ……_| ̄|○
あのあと引き続きカズマとサラは街を回っていた。
しかし、サラはどこか上の空で、カズマが話しかけても「うん」とか、「そうだね」ぐらいの返事しか返さない。
あのいつもの元気はどこにいったのか……
やがて日が暮れ、月が出始めた頃、カズマは一旦サラを宿に置いて、とある場所へと向かった。
目的はーーーー魔剣闘会だ。
☆☆☆
「魔剣闘会ぃ?」
「ああ」
カズマは今、エイリスの部屋に来ていた。
なぜギルドマスターの部屋にいるのかというと、理由はいたって単純。
冒険者達に絡まれたからだ。
ギルドに入ると突然襲ってきて、カズマは反射でついつい先頭にいたやつを上に殴り飛ばしてしまった。
一時沈黙がその場を支配したが、やがて後ろの冒険者達が騒ぎ出し、乱闘。
乱闘の中殴り飛ばされた冒険者達は白目を剥きながらギルドの天井を突き破り、やがて夜空を彩る綺麗なお星様になった。(死んではいない)
あとで理由を聞くと、絡んできた冒険者達はーーーー
ーーーー美少女を連れた年齢不詳の黒コート(フード付き)を着た怪しい男(?)が、日中に堂々とイチャイチャしていたのを目撃、むしゃくしゃしてやった。
反省はしている、だが後悔はしていないーーーー
ーーーーと、いかにも犯罪者がいいそうな言い訳をしていた。
冒険者達総勢15名と取っ組み合いをしていたところを、副ギルドマスターのロールス・エグニット・フーレル・ヴァン・スリトニス・テイリッド・ゴーウェン・カインズ・バーカンズ・テルトス・モルガン・エイトス・タニー・ヒースロ・メイスンに止められ、カズマは副ギルドマスターに連れられて……今に至る。
「なんでいきなり魔剣闘会に出たいとか言い出したんだ?」
「いや、まぁ……色々とな」
二人目の魔神に接触するためです、とか言えないだろう。
言ったら言ったで、なんで接触するのか、何をするつもりだ、とか色々聞かれるかもしれない。
実際、カズマはエイリスと話すとき、なんだか心の中を覗かれている様な感じがしてならない。
余計なことを言うのはマズイ……気がする。
しかし、その魔神についても、聞きたいことがあるのだ。
「その、張り紙に魔神って載ってたんだが……」
「ああ、メルナのクソ野郎のことか、あいつがどうかしたのか?」
魔神をクソ野郎呼ばわりするギルドマスター、エイリス。
カズマはそこをスルーして、早速聞きたいことを聞く。
「ああ、確か魔神って邪神だったよな? なんでそいつが魔剣闘会に?」
「あー、それはな……フィルバス帝国はあいつに対して返しきれない恩があるからだよ」
「返しきれない恩?」
「ああ、あいつのおかげで、過去の皇帝や重鎮達……そして、多くの帝国民が助かった」
助かった、とは一体どういうことだろうか……
「どういうことだ?」
「話すと長くなるからな、簡単にまとめると、不治の病で床に臥した皇帝や、飢饉で飢えた国民達をその『再生魔法』で救ってきたんだ」
「再生魔法……」
話に聞く限り、再生魔法とは回復魔法みたいなものらしい。
しかし、恐らく再生魔法は魔術師達が使う回復魔法とは違うだろう。
魔術師達が使うのは『治癒魔法』であって、再生魔法のような強力な回復力はない。
精霊級にでもなれば骨折を瞬時に治すことが出来るかもしれないが、不治の病を治すことは出来ないだろう。
治癒魔法で治せたら、それは不治の病とは言わないしな。
しかし、強力な回復魔法とも言える再生魔法……恐らくそれはーーーー
「魔神の特殊魔法……」
「ああ、そうだ……なんで知っている?」
怪訝な表情でこちらを見るエイリス。
「あっ……いや、ミルドの本屋でそれらしいものを見てな」
「……そうか」
危ない、と内心冷や汗をかく。
うっかり声に出してしまった。
「……ん?」
だが、ふとカズマは疑問を抱く。
「なぁ」
「なんだ?」
「アルス聖教国の勇者たち……なんであいつら黙ってるんだ?」
「そのことか……私も不思議に思ってるんだよなぁ……」
不思議、とは一体どういうことだろうか
カズマの表情からそんな疑問を読み取ったのか、エイリスはニヤリと笑い、続ける。
「邪神とされている魔神が帝国にいる。しかも勇者までいるのにこれといった問題は起きていない。そしてーーーー」
エイリスはなぜかグイッと近付き、その紅い双眸でカズマの瞳を覗き込む。
「ーーーーアルス聖教国の聖女も黙っている。人神の使徒である聖女も、だ」
「そ、そうか……」
今なんだか全てを見透かされたような気がする。
エイリスはふぅ、と息を吐きソファに腰掛ける。
「そこが不思議なんだよ、私は。アルス聖教国はある意味狂信者の集まりだ。そんな奴らがなんで魔神を放っているのか、考えれば考えるほど、分からなくなる」
カカカ、と笑うエイリス。
「まぁ、そんなことは置いといて、だ。カズマ、魔剣闘会は私の方から出場登録しといてやる」
「……そりゃまた、なんでだ?」
「それは魔剣闘会が始まったら分かる」
エイリスはなんともやらしい笑みを顔に貼り付けている。
魔神のことをもう少し聞いておきたいが、あまり聞きすぎるとかえって怪しいので、カズマはそろそろ引き上げるべく、ソファを立ち上がる。
「じゃあ、用は済んだし帰るとするか」
ドアノブに手をかけ、扉を開ける……
だがその時、後ろからエイリスに呼び止められた。
「おい」
「なんだよ……」
振り返ると、エイリスはいつものヘラヘラとした顔ではなく、真面目な表情を浮かべていた。
「アルス聖教国の勇者たちも出る、まぁ、気をつけろよ」
「…………」
つい無言になってしまうカズマ。
エイリスはそれを見ると再びニヤリと笑い、シッシッと手を振る。
カズマはそのまま無言でギルドマスターの部屋をあとにし、ギルドを出て宿屋の帰路についた。
……まさか、龍神だとバレているんじゃないか?
そんなことはあり得ないだろうが、何故かその不安を拭い切ることが出来なかった。
ちょびちょび改稿していきます。
ちなみに1話、プロローグの部分に少し大事な設定を追加しているので、目を通していただければと思います。
後付け設定みたいですみません…m(._.)m




