第36話 過去の断片
遅くなって申し訳ありません!
リアルの方が忙しかったりなんたりで更新が遅くなりました……。
他にも新作を書いたりしてまして……
キチンと更新するのでご安心を。
では第36話、どうぞ
中に入ると黄色いスーツを着たメガネの男性がこちらに歩いてきた。
少なくともカズマの知り合いにこんな奇抜な格好をするヤツはいない。眉をひそめ男を睨む。
男はカズマ達のまえに立つと執事のような一礼をし、自己紹介をした
「よくぞいらっしゃいました。 私は副ギルドマスターのロールス・エグニット・フーレル・ヴァン・スリトニス・テイリッド・ゴーウェン・カインズ・バーカンズ・テルトス・モルガン・エイトス・タニー・ヒースロ・メイスンです」
「「「なげぇよ!!!」」」
ギルドにいた全員の意見が一致した瞬間だった。
「ふむ、そうですか? 結構私はこの名前気に入っているんですけど」
不服そうにメガネをクイッと指で押し上げるロールス・エグニット・フーレル・ヴァン(ry さん。
よく覚えられたなと褒めてやりたい。
「ゴホン! では上の階でギルドマスターがお待ちですので私についてきてください」
そう言って、カウンターの奥にある階段へと誘導される。
階段を上がり、少し広めの通路を右に進む。
するとそこにはピンクの板が下げられており『エイリス・メイアのお部屋』とこれまた黄色の蛍光色で書かれていた。しかも丸文字。
うっ、と目を抑えるカズマとサラ。
ロールス・エグニット・フーレル・ヴァンなんちゃらさんはその派手な扉をコンコンとノックする。
すると中から
「ガシャァンズボッベキベキズドーン!」
と、明らかに普通ではない音が聞こえてきた。
え? え? とアワアワするカズマとサラ。だがロールスさんは何事もなかったかのように扉を開ける。
恐る恐ると中の様子を伺うカズマ達。
そこは特に何もない、普通の部屋。ミルドのギルドマスターの部屋と遜色ない感じだ。
扉はあんなに派手だったのに中は普通、不思議な感覚を覚えながらもカズマ達は部屋にあったソファに座った。ロールスさんも一緒かと思ったがそのまま扉を閉め何処かに行ってしまった…………
…………それから数十分後、いくら待ってもギルドマスターが現れないので、カズマは下に降りて聞きに行こうと立ち上がる、が、その時
「ドスッ」
天井から机に何か降ってきた。
んん? と落ちてきたものを確認。ナイフだ。しかも今日ギルドマスターが使ってたナイフ……
カズマはふと上を見る。そこには……顔をプルプルと震わせ天井に張り付いてる金髪幼女が。
「うおわっ!?」
ドスンとひっくり返るカズマ
サラは気づいてないようで疑問顏だ。
金髪幼女は天井から飛び降りると机の上に着地、ナイフをスカートの中に仕舞い込んだ。
突然上から人が降ってきて驚くサラ。金髪幼女はそのまま対面のソファに座り、口を開いた。
「さて、まずは自己紹介だな。私の名前は」
「ちょっと待て」
「ん?」
今起きたことを完全にスルーしている。何で上に張り付いていたのか非常に気になるカズマは聞く。
「あのさ、今なんで上に……」
「扉にも掛けてあったが、私の名前はエイリス・メイアだ。気軽にエイリスと呼んでくれ」
「人の話聞けよ!?」
全く聞く耳を持っていない。
「はぁ、なんか質問か? カズマ」
溜息を吐きながら顎をつく。なんだか腹立たしい。
「だからなんで天井にいたんだよ」
やっと聞けた。するとエイリスはムッとして、
「それは今関係ないだろう?」
一蹴された。カズマが更に質問する前にエイリスが喋り出す。
「それで、だ。お前達はどうする? ミルドに帰るか?」
カズマは質問しかけたのを止め、エイリスの質問の意味を考える。
捜索依頼の事を言っているのだろう。無事を伝えるには手紙で返せばいいが、心配をかけたし帰るのが一番だろう。
「そうだなぁ、帰るかな……」
するとエイリスはニヤリと笑い
「残念、ここからミルドまでは半年かかる」
と言ってきた。
「は?」
つい間抜けな声を出してしまう。
だが更に決定的な言葉を口にする。
「そっちの娘は魔族だろ? フィルバス帝国は実力主義だから問題ないが、スコルギア王国は違う。あそこに魔族は入れない」
なんで、と聞き返すと、「ちと昔色々あってなぁ」と遠い目をされた。
だがそういう事ならミルドには帰れない。
「はぁ、どうすっかなぁ。ガルズ達には無事を知らせたいんだが……」
「ごめんね? カズマ。私のせいで……」
サラが申し訳なさそうに謝る。
自分がいるせいでカズマは帰れないと聞いて悪く思っているのだろう。
「んー、まぁ気にするな。なんとかなるだろ」
だがホントにどうするか……と悩んでいると
「ああ、それなら問題ない。今手元にはないが通信用の魔道具がある」
と、そこでエイリスがナイスアシスト
そんなものがあるのか
エイリスの話によると、使用者の魔力によって通信距離が伸びたり縮んだりするらしい。
それなら大丈夫そうだ、と安心していると、不意に隣のサラが
「ねぇ、なんで私が魔族だって分かったの?」
とエイリスに聞いた。
「…………長年の勘だ」
少し間を開け答えるエイリス。
そして流れる沈黙。
しばらく後、話は終わりだ、という言われ部屋を出る。だがその直前
「勇者には気をつけろよ」
とエイリスが意味深な忠告をしてきた。
カズマは首を傾げながらも分かった、と返事をして部屋を出た。
✴︎✴︎✴︎
(エイリス視点)
エイリスはカズマ達が出て行った後、疲れたようにソファに倒れ込んだ。
「……あいつは一体……」
思い出すのはカズマ。
「私の『心眼』にも映らないなんて一体どうなってんだ」
エイリスは魔眼の一つ『心眼』を持っている。
コレは相手の心や記憶などを除く能力があり、ギルド前でカズマ達にコレを使った。
だが本来なら記憶の映像が視えたり心の声が聞こえたりする筈なのに、カズマの場合それがなく、代わりに灰色のモヤと雑音が聞こえるだけだった。
今までこのような事があったのは1度だけ。普通ならこういう事はないので、エイリスはカズマに対し興味を抱いた。
(中々面白えヤツだな……だがそれより)
今エイリスが一番気になっているのはサラ。
『心眼』をサラに使った時、エイリスは衝撃的な映像を視てしまったのだ。
(アレはまさか、な)
その映像とは━━
━━どこかの城の一室。
そこに一人の少女と剣、槍を持った3人の男女が対峙していた。
だが少女は3人の方を向いてなく、一人の男を抱いていた。
顔を涙でぐちゃぐちゃにし、男に向かって何かを言う少女。
男の体には巨大な穴が開いていた。そこからは夥しい量の血が流れている。
少女に手を向けていたがやがて力尽きたか手を下ろし穏やかな笑顔を浮かべ、男は死んだ。
少女が必死に叫んでいる。だが男はもう死んでおり、部屋にはただ少女の叫びが鳴り響く。
(あの少女……サラと似てたんだよなぁ)
顔と髪型が似ていただけなので人違いかもしれない。
「…………厄介事が起きなければいいんだがな……」
エイリスはポツリと不安そうな声を漏らした。
前書きでも書きましたが、新作を始めました。
更新はキチンとします……両方とも。 ハイ。
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