第33話 アルス聖教国の勇者
自分の文章力の無さに嘆いてます。
第33話、どうぞ
※前話の白装束の処遇について、修正しました。
「おい、ホントにこっちであってるのか?」
襲撃から2時間程経っているが未だに街らしいものが見当たらない。
「大丈夫だよ!迷ったりなんかしてないんだよ!!」
サラは自信満々に言うが、館で迷った、という前科持ちだ。
「はぁ、流石にシャレにならないぞ」
一馬は全く地理に詳しくない。迷ったらもう後が無いのだ。
「カズマぁ……ヒドイよぅ…」
目尻に涙を浮かべながら此方を見上げてくるが、一馬はそれをスルー。
だがふと一馬の視線の端に光がうつる。
光といっても微かな光だ。
一馬の五感は常人離れしているので見えているが、普通の人ならば絶対に気づかない。
「おい、多分着いたぞ」
サラにそう伝えると
「えっへん、私にかかればこのぐらい余裕なんだよっ」
サラが胸を張りながらそう言う。
だが、サラの方を向いていた一馬の視線は顔ではなく胸の方に向いていた。
そう、サラは胸がデカい。よって胸を張った時に揺れるのだ。胸が
ジーっと見ていた一馬だがすぐさまハッとなり視線を外す。
「と、とにかく街に着いたな。行くぞ」
一馬は誤魔化すように光の方に早足で向かう。
「え? あ、ちょっと待ってよぉ」
サラは首を傾げながら一馬の後を追った。
✴︎✴︎✴︎
光の正体は街の光だったらしい。
一馬とサラの目の前には巨大な門があった。
高さ的には恐らく20メートルほど。無駄に高い。
巨大な門の隣には人が10人程並んで通れる門がある。
そこには商人のような人や、冒険者のような人達で長蛇の列が出来ていた。
「ふぁぁ…夜なのに人が多いねぇー」
人を見るのが久し振りだからなのか、サラは目を輝かせながら行き交う人々を見る。
「さぁ、この街は帝国の中でも都市の部類に入るんじゃないか?」
門の向こうからは客を呼ぶ声が聞こえる。
順番が来るまでサラと今後の事について話していると、不意に後ろから声が掛けられる。
「お前、中々可愛いじゃないか」
一馬とサラは声のした方向を振り返る。
そこには何人もの女性を侍らした茶髪のイケメンがいた。
「どうだ?そんなヤツより俺と一緒にならないか?」
「なんだよ、お前」
一馬は若干苛立ちながら聞き返す。
するとイケメンは気に食わなかったのか
「その口の聞き方はなんだ?俺はアルス聖教国の勇者、風切修都だぞ!!」
イケメンがそう名乗った瞬間、周りにいた人達がザワザワと騒ぎ出す。
「じゃあアイツがダンジョンを踏破した『閃光』か?」
「あーあ、あの黒い兄ちゃん面倒くさいヤツに絡まれたな…」
聞く限りだと、このイケメンはダンジョン踏破者らしい。
どれぐらい凄いのか分からないが、『閃光』と呼ばれているという事は、スピード型なのだろう。
「おいっ! 聞いてるのか!?」
イケメンはそう言うと一馬の襟を掴んできた。
「なっ!?」
サラが驚き抗議しようとした、その時
ボキッ
何かが折れる音がした。
一馬がイケメンの腕を折った音だ。
「ぐっ!あぁぁああ!?」
イケメ……もう勇者(笑)でいいや。
勇者(笑)は自分の腕を抑えながら地面を転げ回る。
「ああっ!俺の腕がぁぁ………」
周りにいた女性が慌てて駆け寄る。
勇者(笑)は涙を流しながら此方を睨んでくるが一馬はそれを無視し、一つ忠告する
「いいか、勝手に人の連れに話しかけてんじゃねぇ…」
何故ここまで憤っているのか自分でもよく分からない。気がついたら既に手が出ていたのだ。
一馬はそのまま勇者(笑)に言う。
「次何かしてきたら殺すぞ?」
殺気を放ちながら忠告する。
だが勇者(笑)は殺気にすら気づかなかったのか
「ふ、ふん!いつかお前は後悔するからな!」
そう言って立ち上がると、どけ!と言いながら門をくぐっていった。
「カ、カズマ…?」
サラが心配そうな顔でこちらを見てくる。
「ああ、心配するな」
サラの頭を撫でながらモヤモヤした気持ちを紛らわせる。
エヘヘ、と言いサラは頬を染めながら
「ねぇ一馬。なんであんなに怒ってたの?」
と聞いてきた。
「さあな…自分でもよく分からん」
ただイケメンがサラに話しかけているのを見て、ドス黒い感情が湧き上がってきたのは確かだ。
(まあいいか、それより勇者がいるとはな…)
アルス聖教国と言っていたしこれから敵対する事になるだろう。
先程の騒動のせいで恐らく一馬は目をつけられた。
(はぁ、面倒くさいなぁ)
一馬は面倒くさいことは嫌いだ。
だが、魔神でもあるサラと行動するなら避けては通れない道なので仕方がない。
一馬はこれから起きるであろう面倒ごとを思い浮かべ、頭を抱えた。
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