第23話 ランクアップそして依頼
第23話どうぞ
魔物達との戦いが終わり、その翌日。
一馬はギルドに顔を出した時にラミアから
「ギルドマスターがお呼びです」
と声をかけられ、今ギルドマスターの部屋の前にいる。
コンコン
ミリアが扉をノックすると、
「いいぞ」
と、中から声がかえってくる。
ガチャ、と扉を開け中に入る。
その部屋は校長室の様な感じで壁に何かの賞状の様な物がたくさん貼られていた。
部屋の真ん中にあるソファに腰掛け、デスクで作業しているシアルに目線を向ける。
シアルは、暫くすると作業がひと段落したのか向かいのソファに座った。
何の用だろうか…と一馬がソワソワしていると、シアルが神妙な顔をしながら
「カズマ。君をCランクに昇格させようと思ってるんだが君はどうしたい?」
と尋ねてきた。
開口一番にそう言われ少し戸惑う一馬だが
「もちろん、受けさせてもらう。ランクが上がると受けられるクエストが多くなるからな。メリットしかない」
そう、クエストには指定ランクというものがある。
あくまで指定であり、強制ではないので自分よりランクの高いクエストを受けることもできる。
だが、過去に自分の力を過信した冒険者達が次々と死んでいったことにより、自分のランクより指定ランクが高いクエストは受けない、というのが冒険者達の間では暗黙の了解となっている。
「そうか、実際先日の戦いで功績を挙げた君をEランクに留めておくのも無理があったし、そう言ってもらえて助かる」
ギルドの方でも色々あったらしい
「別に、俺はランクにこだわりはないがな。より多くのクエストが受けられればそれでいい」
「本当にお前は何なんだ?そこまで強さに興味がない冒険者なんて初めて見たぞ………冒険者の間ではお前の話題で持ちきりなのに、当の本人がこれじゃあな…」
ニヤニヤしながらからかってくるシアル
「よしてくれ、あまり目立つのは好きじゃないんだ」
ハッハッハッ!と暫く笑うシアルだが、急に真面目な表情になり
「実はお前に……頼みたいことがあるんだ」
と言ってこちらを見つめてくる。
いちいち表情が変わって忙しい奴だな…と思いつつも大事な話してっぽいので姿勢を正し聞き返す。
「なんだ?受けるかどうかはさておき、話を聞かせてくれ」
「うむ。今回の魔物の大群は龍神の森で発生したダンジョンから溢れ出た魔物だ、というのは知っているか?」
「ああ」
ギルド嬢達が話していたのを盗み聞いていたので知っている。
「一度冒険者に依頼でそのダンジョンに調査に向かってもらっていたのだが、未だに帰ってこないんだ。おそらく魔物の大群が出てきた時に巻き込まれたと思うのだが…」
(ようするに、俺にその冒険者達の安否を確認してこい、と頼みたいのか?)
面倒な…と思っていると
「冒険者達の生存確認もしてきてもらいたいが、今回君に頼むのはそれじゃない」
「どういうことだ?」
ふう、とシアルは息を吐く。
「ああ、君にはダンジョンの調査を依頼したいんだ」
ダンジョン。
未だに解明されていないものが多く謎につつまれているソレに対し一馬は興味を持っていた。
前から行きたいと思っていた一馬だが少し不安がある。
その不安とはーーー
(もしまたドラゴンゾンビとかいたら嫌だなぁ……臭いし)
実にマイペースな言い訳だった。
しかし行ってみたいのも事実。暫く悩む一馬だが、今回は行ってみよう、という結論に至る。
「分かった。いい機会だしその依頼受けることにするよ」
「そうか、そうだよな……ダメに決まってるよn…っていいのか!?」
身体を浮かし、ノリツッコミで返してくるシアル。
「なんだ?調査してくれって言ってきたのはそっちじゃないか」
「あ、ああ、まさかこんなに簡単に了承を得られるとは思ってなかったのでな」
一体何故そう考えていたのか知らないが、断られると思っていたらしい。
ソファに座りなおしゴホン、と咳をする。
「助かる、だが気をつけてくれ。君ほどの実力があっても油断すれば死ぬ。ダンジョンは魔物だけではなくトラップなどもある。即死のやつもあるから当たれば一撃だ」
一馬はダンジョンに行ったことがないのでよく分からないが、シアルの言葉には何故か説得力があった。
「分かった、気をつけるよ。じゃあ早速今から行ってくるか」
一馬はそう言うと席を立ち扉に向かう。
「すまないな。疲れているだろうがそれ相応の報酬は用意する」
そう言ってくるシアルに対し一馬は
「ああ、期待してるよ」
ニヤリと笑い言い返す。
その笑みに薄ら寒いものを感じたシアル。
一馬はダンジョンに向かうべくそのまま部屋を後にした。
龍神の森で発生したダンジョン……………
この存在が一馬の運命を大きく左右する事を、まだ誰も知らない。
メインヒロイン登場まで後少し………?
カウントダウンとかした方がいいですかね?
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