第20話 VSドラゴンゾンビ
第20話どうぞ
※5/20 拳の所を剣に変更しました。
時は少し遡り、ガルズがブレスをくらう前。
一馬は何もせず後ろでひたすら待機していた。
「行きたいけどダメだって言われるし」
一度前に出ようとしたのだが、指揮官の女性に止められた。
それから飽きることなく前に出ようとするが同じ結果。おとなしく待つことにしたのだ。
ボーっと傍観してると
ドォアァァァァァァン!!!
大気が震えた。
「まさか!」
音のした方向を見ると、予想は的中。ドラゴンゾンビがブレスを撃っていた。
掠ったらしいガルズは果敢にも挑もうとするが膝をつく。
「ヤバい!?」
駆けつけようとする一馬だが、その時ドラゴンゾンビとガルズの間に火の壁が出現する。
リリアだ。
(リリアがいれば大丈夫だろう…。再生する前に魔法をぶち込めばいいだけだし)
そう考えた一馬はガルズ達のところに行くのを止める。
リリアが詠唱を開始する。
(リリアはSランクらしいからな。この世界のSランクがどれぐらいの強さなのか、見せてもらうか)
詠唱を終えたリリアの頭上の空間が割れ、中から白い焔の剣がでてくる。
(あれは……精霊級魔法のレーヴァテインじゃないか。SランクでこれならSS、SSSランクってのはどんな化物なんだよ…)
いまここにアクアがいたら、「自分のことを棚に上げて…」と深い溜息をつくだろう。
レーヴァテインがドラゴンゾンビめがけて振り下ろされる。
大地を震わせるほどの振動が鳴り響き土煙が吹き荒れる。
(あれぐらいやれば木っ端微塵だろう)
だがリリアは厳しい視線をドラゴンゾンビのいた所に向けている。
土煙が晴れると、そこには半分体を失いながらもこちらを睨め付けるドラゴンゾンビがいた。
(うそだろ?昔戦ったドラゴンゾンビは精霊級魔法ぶっ放せば一撃だったのに…)
リリアも驚きを隠せないようでそこから動かない。
焦った一馬は
「おい!!逃げろ!!!」
リリアに向かって大声で叫ぶ。
だが聞こえてないようで未だに動かない。
ドラゴンゾンビが咆哮をあげ、驚くべきスピードで接近する。
「ちっ!やばい!!」
一馬は近くにあった剣を拾い、魔力でコーティングし、光速魔法を行使する。
『瞬速』!!
一馬の姿が消える。
ドラゴンゾンビの腕は既にリリアの目の前。
「間に合えぇ!」
一馬はドラゴンゾンビの前に移動、脚を受け止める。
(ま、間に合った…)
一馬はリリアの方に振り向き笑いかける。
リリアは驚いた表情でこちらを見上げている。
「リリア!後ろに下がれ!」
そう指示するが魔力切れか、あるいは恐怖からか動かないリリア。
その時、
「グギャァァァァァ!!!」
ドラゴンゾンビが一馬にめがけてブレスをうつ。
「くそっ!」
一馬はドラゴンゾンビの脚を殴り退かすとリリアをかかえて光速魔法を発動する。
いきなり光景が変わったことに驚くリリア。
場所は後方、先ほどまで一馬がいた場所だ。
リリアをそこに下ろす。すると指揮官の女性がこちらに向かってきた。
「お前!どこに行っていた!!あれ程動くなと言っただろう!?」
怒鳴ってくるが一馬はそれを無視し
「あいつは俺がやる」
と女性に言う。
ポカンとした顔をする女性だが、すぐに
「馬鹿が!!あれはドラゴンゾンビだぞ!?Eランクごときのお前がやれる相手ではない!」
と言ってきた。
一瞬ムカッときた一馬だが、ここは譲れない。
「強さってのはランクで決まるものじゃねぇよ」
そう言って再び光速魔法を行使。ドラゴンゾンビの前に立つ。
(レーヴァテインをくらって間もないのにもう全回復してやがる…。俺が前戦ったやつとは大違いだな)
剣を握りしめ、ドラゴンゾンビと対峙する。
「再戦と行こうじゃねぇか!」
一馬はそう言うとドラゴンゾンビに突っ込んだ。
まずは魔法を使わずに魔力でコーティングした剣で脚を斬りつける。
ズチャッ
ドラゴンゾンビは表面が腐っているので脆い。
そのまま脚は斬り落とされるがすぐにまた再生する。
「厄介だな…。だが再生する前に叩けば問題ない!!!」
一馬はその場を跳び上がり、ドラゴンゾンビの顔を蹴りつけた。
「グオァァァァ!!」
叫びをあげ、数メートルほど後退するドラゴンゾンビ。
「まだまだぁ!!!」
肉薄し更に斬り、蹴りをいれる。
ドラゴンゾンビは慌てて後退する。
更に追い討ちをかけようとするが、ふと違和感を感じた。その正体はドラゴンゾンビ。
ドラゴンゾンビは体を縮こまらせ
ギョガァァァァァ!!
魔力を放出させ、今までにない咆哮をあげる。
「強気だな!!」
攻撃しようとした一馬だが、異変が起きる。
ドラゴンゾンビの周りの地面が盛り上がり、
そこから皮膚が腐った魔物が大量に出てきたのだ。
「おいおい…勘弁してくれよ」
中には冒険者達にやられたらしい魔物も混じっている。
(ホントに嫌なやつだなこいつは…)
一馬は気合いを入れ直し、再びドラゴンゾンビと対峙した。
次で決着!
誤字・脱字、ご感想お待ちしておりますm(._.)m




