第18話 開戦
次は夜更新です。
では第18話どうぞ
ラミアにハンコを押してもらい、ギルドの入り口から外に出る。
その時鎧に身をつつんだ冒険者の男が焦った様子でギルドの中に走っていった。
「何かあったのか…?」
立ち止まってギルドに戻る。
するとギルドの中では男が
「急いでくれ!魔物の…魔物の大群がくる!!」
などと叫びながら受付嬢に詰め寄っていた。
受付嬢は困った顔をしながら、ギルドマスターを呼んでいますので…となだめていた。
(なんだか尋常じゃない雰囲気だな…)
気になったので一馬は近くの椅子に座る。
少し経つと、カウンターの奥にある階段からグラマーな美女が降りてきた。
彼女がギルドマスターだろうか。
黒髪を腰まで伸ばし、露出の多い服を着ているその女性は男に向かって事情を聞く。
その様子をジーっと眺めていると、カウンターにいたラミアがこちらに気づいたらしく、一馬のいる方に来た。
丁度いい。そう思った一馬はラミアから詳しい話を聞くことにする。
「なぁラミア。あいつなんであんなに焦ってるんだ?」
「何でも龍神の森にダンジョンが発生して、そこから大量の魔物が溢れてきているらしいです」
ダンジョン?と聞き返そうとした一馬だが、その時、話を聞き終わったのか女性が
「今ここにいる冒険者諸君!この町に向かって大量の魔物が向かってきているらしい!中にはドラゴンゾンビもいたとのことだ!他の冒険者にこの事を伝え、速やかに門前にあつまれ!」
と呼びかける。
【ドラゴンゾンビ】
その単語にピクッと反応する一馬。
ざわ…ざわ…と騒がしくなるが、事の重大さに気づいたらしい冒険者達が次々と走ってギルドをでていく。
一馬もそれにならい、ギルドを出ようとするが誰かに右手を掴まれる。
ラミアだ。
「あの、カズマさん…。あなたはまだEランクです。後方支援になる思いますが、くれぐれも無茶はしないでください…」
心配そうな顔をするラミア。
「安心しろ。俺は死にたくないからな」
一馬はそう言い残してギルドを出た。
門に着くとそこには沢山の冒険者で溢れかえっていた。
ローブを着込んだ魔術師、フルプレートに身をつつんだ戦士、レザーアーマーを身につけた軽戦士など様々だ。
一馬は一番後ろに並びある人物を探す。
キョロキョロしていると
「おう!カズマじゃねぇか!」
ドンッと背中を叩かれ後ろを振り返る。
そこにはこの街に案内してくれたガルズ、リリアがいた。
「ガルズか…」
「おいおい、なんだよその反応は!」
ガッハッハ!と豪快に笑う。
「はぁ、貴方少しは緊張感ってのを持ちなさいよね…」
溜息をつきながらそう言うのはリリア。
「そっちは元気そうだな」
「おうおう!お陰様でな!!」
一馬はガルズ達と軽い話をしていると、周りの視線が自分達に向いている事に気づく。
(俺………というかガルズ達のほうを見てるな)
何やらボソボソと冒険者達が喋ってるので聞き耳をたてる。
すると
「おい…あいつ、《爆走》のガルズじゃねえか?」
「まじかよ…そいつSランクだよな?」
「だったらあっちの女は《煉獄》のリリアだよな?」
「ミルドを拠点にしてるって聞いてたがマジだったのか…」
などという驚くべき会話が聞こえた。
(な〜んかあるなとは思っていたが…まさかSランクとは)
一馬が固まっていると
「おいどうした?カズマ。怖くて怖気づいたのか?」
とニヤニヤしながらガルズがおちょくってきた。
「別に。お前こそ強がってるだけじゃないのか?」
「ケッ!可愛くねぇなぁ」
ガルズと言い合いをしていると、一番前の高台にギルドで指示を出していた女性が立つ。
「いいか!情報によると間も無く魔物の大群がこちらに向かってくる!!ギルドでも伝えたが、中にはドラゴンゾンビもいるようだ!!もしここで食い止められなければ街にいるお前達の家族、友人が死ぬと思え!!!それが嫌なら、全力で戦え!!!」
「「「オオオオオオオオ!!!!」」」
「へぇ、ドラゴンゾンビか…殺り合った事ねぇからなぁ〜、楽しみだぜ」
戦闘狂のような事を言いながら大剣を抜くガルズ。
「はぁ〜。程々にしなさいよ?」
何か諦めた表情のリリア。
殺気だっている周りの冒険者達と比べ、どこか楽観的なSランク2人組。
それに対し一馬は
「ドラゴンゾンビかぁ…、戦いたくないなぁ…」
憂鬱な気分だが、自分は後方支援なので大丈夫だろう…と考えるのをやめ、魔物達が来るであろう方角を見つめる。
暫くすると大量の影が地平線から浮かび上がってくる。
「来たぞ!死んでも守り通せぇ!」
女のかけ声を合図に、魔物の大群と冒険者達の戦いの火蓋が切っておとされた。
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