第10話 辺境地ミルド
遅くなってすみませんm(._.)m
第10話どうぞ
一馬がグリフォンを吹き飛ばしたあと、グリフォンの群れは慌てて逃げ出した。
恐らく一馬の体から滲み出ているオーラに恐れをなしたのだろう。
「大丈夫か?」
一馬は男と魔法使いに向けて尋ねる。
2人は何かの帰り道だったのか荷物を背負っている。
尋ねられた2人組は顔を見合わせたあと、頭を下げ
「ありがとう。おかげで助かった」
「危ないところをありがとう。この恩は忘れないわ」
と感謝の言葉を述べた。
一馬は少し照れながら、
「いや、いいって。ちょうどこっちも聞きたいことあったし」
「聞きたい事とは?」
男は首を傾げながら聞き返す。
「まあその前に自己紹介だ。俺は根室 一馬だ。カズマでいい。よろしく」
「ああ、そうだな。すまない。俺はガルズ。冒険者だ」
「私はリリア。冒険者よ」
「それで、カズマ。聞きたいことってのはなんだ?」
そう聞かれ、
「そうそう。俺さ、街に行きたいんだが迷ってな。できれば案内してほしいんだ」
頬をぽりぽりと掻きながら恥ずかしそうに言う一馬。
それを聞いたガルズはポカンとすると、すぐに大声で笑い始め
「はっはっはっは!面白えやつだなお前は!街はこっちじゃなくてあっちだ」
ガルズはそう言いながら一馬が来た方向と逆の方を指差す。
「仕方ねぇ。助けてくれた恩もあるし俺たちが連れてってやるよ。俺たちもクエストの帰りだしな。リリアもそれでいいだろ?」
「ええ、そうね。恩を仇で返すなんて私のポリシーに反するわ」
「ってことだ。カズマ。短い間だが宜しく頼むぜ!」
ガルズはそう言いながら握手を求めてくる。
一馬は安堵しながら
「ああ、宜しく頼む」
と差し出された手を握り返した。
街に移動する間、俺はガルズ達にこの世界の貨幣価値と一年周期、国について教えてもらった。
この世界の貨幣価値は
銅貨10枚→銀貨1枚
銀貨100枚→金貨1枚
金貨1000枚→白金貨1枚
だそうで、日本円にすると銅貨1枚100円だ。
この世界の物価は日本と比べて格段と低く、一般家庭の月収は銀貨50枚程だ。
1週間6日、12ヶ月の1年360日だそうだ。
また、今向かっている街は辺境地で街の名前はミルド。領地を治めているのは、ヴェルス・ノーマン辺境伯という人らしい。
なんでもその人は生粋の武人で、差別意識が低く、またとても朗らかな性格で民にも慕われているとか。
そして辺境地が属している国の名前をスコルギア王国。国王はルドウェル・スコルギアというらしい。
他の国のことも気になったがそれは街についてからでいいだろう。
そのあと他愛もない話をしていると、目の前に街が見えてきた。
「おっ、そろそろかな」
その街は周りを高い壁で囲われており、入り口らしきところにはたくさんの人たちが並んでいる。
俺たちはそこの最後尾に立つ。
「なぁガルズ。なんで壁で囲ってるんだ?」
「ああ、ここは辺境地だからな。モンスターの数が多いし、モンスターの強さがが他のとこと比べて格段に強いんだ。だから街を守る為にこうして高い壁で囲ってるんだ」
「成る程」
「次!!」
どうやら俺たちの番になった様だ。
門番がこちらをチラリと見た後、
「身分証を」
といってきた。
(身分証…?)
ガルズの方を見ると何やらキャッシュカードの様なものを見せていた。リリアもだ。
「よし、お前は?」
門番がこちらを見て確認してくる。
「いや、俺は身分証なんて持ってない」
門番は一瞬顔を顰めると
「では仮身分証を渡すので銀貨2枚を」
そう言われガルズ一馬は銀貨2枚を門番に渡す。
すると門番は腰ポケットからカードを取り出し
「これが仮身分証だ。1週間以内に正式な身分証を作れば銀貨2枚は返却されるので、早めに登録する様に」
そう言いながらカードを渡してきた。
そのカードには『仮身分証』とでかい文字で書いてある。
「ようこそ!ミルドヘ!!」
門をくぐる。
(意外とすんなり入れたな)
今の一馬の出で立ちはフードを目深く被った黒ローブ姿である。
怪しさ満点なのだが特に大きな問題もなかった。
内心ヒヤヒヤしていたが、拍子抜けである。
門番が正式な身分証を作れと言っていたがどこで作ればいいのか。ガルズ達に尋ねると
「だったら冒険者ギルドに行け。手っ取り早いぞ」
と言われた。
(冒険者ギルドか…丁度いい。金稼ぎもしないといけないし、一石二鳥だ)
「わかった。じゃここでお別れだな」
「ハッ、俺たちはこの街にいるからまた会えるさ。もし何か困ったことがあったら俺たちの名前を言え。この街の中だったら大抵どうにかなるはずだ」
何やら意味深なことを言いながらガルズ達は街中に消えていった。
「さて、じゃあ冒険者ギルドに行きますか」
一馬は初めての街に胸を躍らせながら歩き出した。
「あ、ギルドの場所聞くの忘れてた」
いつも肝心なところでぬけている一馬であった。
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