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海のような草原
別れを惜しむように消えていった夕陽
気だるげに幕を引いた西風
楔を打つように踏みしめたスニーカー
葉をつけない、木
遠く廃墟になった遊園地
気だるげな、声
教室を抜けだした数時間前
忘れ去られた紙パック
冷えきった右手
冷えきった左手
四十五億年目の照明係
それを邪魔する雲の切れ端
輪郭だけをなぞった長い髪
言葉にならない息遣い
帰りたくない帰り道
楔を打つように踏みしめたローファー
街と草原の境界線
楔を打つように飲み込んだ息遣い
捕まえられない照明係
静かに眠る遊園地
静かに泣くローファー
連れていけない左手
空想と現実の境界線
その間に立つ葉をつけない、木
廃墟が見る空想
賑やかに照らされている帰り道
帰ることの出来ない、スニーカー
漕ぎだすことの出来ない、ローファー
空想と現実の境界線
四十五億年と一日目の照明係
夜の海のような草原
その浜辺に残された一足
帰れなかったローファー
帰らなかったスニーカー