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猫には猫の付き合いというものがある。
最近では野良猫たちはチームをつくり、鮮やかな連携プレーと張り巡らされた情報網により保健所の人間を翻弄していた。
だが近いうちに保健所の人間が来るなんて情報は入っていない。斑は無意識のうちに舌打ちをしていた。焦っているのだ。
町中にいれば猫好きな住人の多いこの町のことだ、誰かしらが庇ってくれる可能性もある。
しかし今いるのは見つけることさえ困難な寂れた神社。こんな所に訪れる人も猫もいない。
勿論、一匹でも逃げ切れる自信があってのチームに入らずの単独行動を斑は行っている。ならば何故こんなにも焦っているのか。
斑はこの神社の存在を誰にも知られたくなかったからだ。
草木で覆い隠され、雨露を凌げる屋根があり、少し下におりれば川もある。
隠れ家としては最適。
ここより条件のいい場所は他にはない。
何よりも斑はこの名もない古びた神社が好きだった。
斑にとって都合がいいから、というのも理由のうちだがこの神社や、その前に立ちふさがる食いちぎられたかのような木、焼かれたような地面、全てを囲んで隠してしまうように生えた草木、その全てが斑は気に入っていた。




