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美しすぎるものは総じて夢である。
斑は夢を見た。
その夢はあまりにも鮮やかで美しすぎたため、斑はこれが夢だとすぐにわかった。
まるで羽が生えたようにフワフワと宙に浮く感覚に酔いしれていると、突然目の前に天まで突き抜けるほど雄々しくそびえ立つ大木が現れた。
その大木のあまりの大きさと神々しさに斑は言葉を失い、溢れんばかりの生命力を肌で感じ身震いした。
ふと気づくと何時の間にか斑の横に1人の人間が立っていた。その人間も斑同様、大木に圧倒され魅入っている。
よく見るとその人間は神社で出会ったあの美しい少年であった。
だがおかしな事に、腕にあったはずの痛々しい傷が包帯ごと綺麗さっぱり消えている。斑がつけた傷も見当たらない。
斑は首を傾げたがすぐに合点がいった。ああ、そうだ、
「これは夢だった」
その瞬間、天と地がひっくり返るような感覚に襲われ、斑は飛び起きた。
心臓が全力で走りぬけたあとのように早い鼓動を刻んでいる。斑は大きく欠伸をして顔を拭うと、降りかかる朝日に眩しそうに目を細めた。
目覚めは最悪である。




