美しい少年に出会った。
その張本人は白い手と同じくらいに血の気のない白い顔をした、まだ幼さの残る少年だった。
その白い顔に並ぶパーツは驚くほど整っており、夜の闇を切り取ったように黒い髪と目がその白い顔によく映えている。
人間の顔の美醜など分からぬ斑にでさえゾッとする美しさを感じさせた。
「・・・どこの馬鹿猫かと思ったらお前、・・斑か。何?ここお前の縄張りとかだったりするわけ?」
表情を変えずに淡々と言葉を紡ぐ少年。その少年の手に、斑は今度は爪を振りかざした。
手を抜いて放たれたそれは少年の皮膚を薄く切っただけだったが、斑の首根っこを掴んでいる手を払いのけるには十分だった。
「・・痛いなあ・・・サイアク。お前、ほんっとうに可愛くないね、見た目も性格も。そんなんじゃ雌にモテないんじゃない?猫のくせに何その悪人面」
愛玩動物らしく媚びれば?と嘲笑する少年。
その姿は、先ほどまでこの少年が纏っていた得体の知れない不気味さや浮き世離れした雰囲気とはあまりにもかけ離れていて、斑を拍子抜けさせた。
(人形みてぇな顔してるが口を開けばなんて事はねぇ。ただのガキだな。しかもかなり苛つく類の。)
「ニャ、ニャー」
(おいガキ、1つ教えてやる。種族が違えど雄に求められる物も誇るべき物も『強さ』。それだけだ。ナヨナヨした人間のガキにはわかんねぇだろうがなぁ)
言葉が通じぬ相手に何を言っているのだと斑自身思わぬでもなかったが、言い返さなければ気が済まなかった。
「猫語とか僕わかんないし。お前日本語喋れよ」
「ニャーア」
(バーカ)
先ほどの少年のように嘲笑しながら吐き捨てると少年の整った眉が不快そうに潜められた。
「今お前が僕を馬鹿にしただろうことは何となく伝わった」




