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食らいつき、噛みちぎれ。
その音が何を示すのか。
考えずとも解るその問いに斑は弾かれるように扉に向かって走り出した。
これ以上、相手に先手を譲るわけにはいかない。何よりもそれは斑のプライドが許さなかった。
白い手が錠を外すと鈍い音をたてながら扉を開け始めた。
その瞬間、闇に染まらぬ白い手に斑は襲いかかった。
短い悲鳴が聞こえ、悲鳴と共に白い手に食い込ませた己の牙から人の熱と赤い血の流れを感じた。
その事に斑は少し安心した。
よほど驚いたのかバランスを崩し、急に相手がガクッと床に倒れこんだ。
牙を手に食い込ませたままだったので必然的に斑も引っ張られるように白い手の持ち主のうえに倒れこむ。
月の光が扉の隙間から社の中に射しこみ、その光に反射するように斑の縦に細長い瞳孔が開いた。
その淡い僅かな光、それだけで斑の目には闇に潜むものを映しだす。
最初に斑の目が拾ったのは
白いワイシャツから伸びる傷だらけの白い腕。
夜に同化している黒いズボン。
真新しい赤いスニーカー。




