Story0.序章
私はとある国の王女。
だから、フルネームは名乗れないけど、父と母に与えられた名は『マリア』。
今は15歳。
妹の『レリア』は私より1つ下の14歳。
私たちは昔起きたなんとかっていう事件のせいで、国民には内緒で育ってきた。
それは隣国のツィ…っと、まずいまずい。
これまた国名は言えないけど、隣国も同じで、その隣国の王子2人と私たち姉妹は一緒に育ってきた。
まぁいわゆる“幼なじみ”ってことね。
その2人の名前は、『トレンツ』と『オスカル』。
トレンツが16歳でオスカルが14歳。
これが私の周りの環境。
でも、今はこんな優雅に説明してる場合じゃないのよ。
それは、秘密厳守で育った私たちを、何者かが誘拐するって言ってきたから。
しかも私たちの名前や年齢も書いてある脅迫状を送ってきて…。
それで王宮の中では、対策を練ってるわけなの。
「お姉ちゃん」
不安げな顔で、妹のレリアが尋ねる。
「私たち、どうなるの?誘拐…されちゃうの?」
レリアは年の割に子供っぽい。
「大丈夫。そのために父様と母様が話し合ってるんだから。」
「そうだね。」
まだ不安の残った笑顔を、私に向ける。
私は心の中で、
(子供に心配させてんじゃないわよ…)
と、父たちに文句を言った。
しばらく沈黙が続く。姉妹とはいえ、こうゆう深刻な事態では、はしゃげないし。
その沈黙を破ったのは、私でもレリアでもない。
窓だ。
…って言っても分からないだろうし、噛みほぐしていうと、外からの侵入者によって窓ガラスが割れた。
あまりにいきなり、突然おおきな音がするもんだから、小心者のレリアは悲鳴を上げた。
「いやあぁぁぁぁ!!」
甲高いレリアの声がさらに甲高く聞こえる。
その声に、私よりも侵入者が驚いたようだ。
あ、そうそう。
『侵入者』なんて言ったら怪しいけど、侵入者とはトレンツとオスカルだ。
その証拠に、
「おい、マリア!早くレリアを黙らせろよ〜」
と、焦った声で私に話かける。
「ほーら、レリア。窓見て見なよ。トレンツとオスカルだからさ」
私の言葉を聞いて、叫びっぱなしでかすれてしまった声が、ピタリと止む。
「トレ…?オス…。」
半泣きになった顔をゆっくり上げる。
だんだんと、笑顔に変わってゆく。
「う、うう…」
今度は嬉し泣き…。
私は忙しい奴だ、とため息をついてしまった。
「何か隠れるとこある?今ので、兵士くるかもでしょ」
あー…、少し考えてから、私は天蓋つきのベットを指さした。
「あそこ。あのベットの下は?」
「…ゴキブリいねぇだろうな」
ぼそりとトレンツが呟いたとき、慌てた様子の兵士がドアを叩く。
「どうなされましたか、マリア様!レリア様!」
「どうもしないわ、窓が割れちゃっただけなの」
「そうですか。ドアを開けて頂けますか?程度を拝見させてください」
私と兵士の会話の間に、2人がベットの下へと潜りこむ。
ドアが開いた。
「あぁ…、かなりひどいですね」
「そりゃそうよ。170はある2人が通ったんだから」
なんてことは言えず、
「いきなりでビックリしたわ。すぐに直る?」
と、適当にごまかす。
「少し時間がかかるかもしれませんね。あぁ、そうです。なにやら話し合いが終わったようですよ。
会議室へ行かれてみては?」
「私たち、どうなるか決まったの!?」
「マジ!?…って!」
思わず叫んだ私と同時にベット下にいるトレンツが声を上げた。
バレた上に、頭をぶつけたようだ。
バカ…。
「は、はは…」
苦笑いでトレンツとオスカルが出てきた。
兵士の口がぱっくり開いている。
「い、行こ!ね?ほら。はっやく〜」
レリアがごまかし、会議室へと移動した。
「おぉ、よく来たな。トレンツとオスカルも一緒か」
「まぁ、偶然」
「ちょうどいい。たった今、お前たちについて決ったら所だ」
場の雰囲気が凍りつくとはこういうことか。
みんなの表情が硬い。
「結果として…」
私たち4人が息を飲む。
「4人には旅立ってもらう!」
「………」
はい?
「意味分かんねぇよ!」
そうそう、トレンツ。
その通り。
「いや、実は話し合った結果、この狭い城に閉じ込めるより、人に隠れられる街へ出たほうがいいと思ってな。」
「木の葉を隠すなら森の中…。僕らも人込みに紛れろと…?」
「あぁ、さすがオスカル。話が分かるな」
「………」
だが、後の3人は固まったまま。
「さらに、4人には宝をさがしてもらう」
「何?宝って」
「結婚の際、宝石を交換するのは知っておろう。
その元となる宝をさがせということだ」
「つまり原石?」
私の問い掛けに父は答えず、代わりにニッコリと微笑んだ。
厳しい顔に戻り、
「ならば今すぐ準備を始めろ!」
そして私たち4人の、長く険しい旅が始まった…――。




