渦。
時々、不意に思うの。
「私って、どんな人?」
「周りからはどう思われてるの?」
「私って、友達が何人いる?」
「それは本当に友達なの?」
それは泉のように、あとからあとから湧いてくる、突然生まれた自分への疑問。
周りの人の心の内が気になる。そしてどんどん、その疑問の渦に巻き込まれて。
「何で、私は生きてるんだろう?」
そんなの、どうだっていいじゃない。
いつもならそんなこと、気にならない。だって楽しいんだよ、学校で友達と話すことが。
でも、その渦に巻き込まれてしまえばそんな疑問だって、笑い飛ばすことが出来ない。
そして答えに行き着くの。
「分かった。私、死にたくないんだ。死にたくないから、生きてるんだ」
生きたいと思う理由はない。ただ、死ぬのが怖いの。
そうでしょ?
あなたの周りに、死んだ経験のある人がいる?
「死んだらこんな風だよ」って、教えてくれる人がいるの?
「死ぬ時って、痛い?」
「意識はどうなるの?」
そんな事教えてくれる人がいる?
いないわ、そんな人。
もし、そんな人がいたとして、死ぬ時のことが分かったなら。私、とっくに死んでるかも。だって、生きたい理由が無い。
どんなに探しても、見つからない。
「周りだって、私を必要としてないわ、絶対そうよ」
そう、思っているから。
ーーー本当の私って、誰?
いつも友達と笑いあって、喧嘩したり、泣いたりしてる、元気なのが「本当の私」?
人の話に口出し出来ず、悩みもずっと一人で抱えてるのが「本当の私」?
それとも………
考え始めるとキリがない。
さらに深みにはまっていく。
それでも分からない。私って誰なの?
いつまでも、その渦から抜け出せず、ただ気分だけが沈んでいく。
友達は?
私の本当の友達って、誰?
あの子は。
幼馴染で、親友で、一番の友達だったあの子は? もう遠い。ずっと遠いところにいる。
きっと、その距離がまた元に戻るのを、私は許すことが出来ない。だって。私がこの世界で一番大嫌いなあの子と仲が良いの。許せない。絶対に。あの子とずっと一緒にいるから私はもう近づかない。近づけない。
周りにいるクラスの友達は?
いいえ。もう、友達なんかじゃないわ。友達だって、思ってた私がバカだった。
ーーー孤独。
そうだ、孤独だ。
私の中を、闇が支配した。
何度目だろう。これ。
私の中にあった、小さくて弱々しい光が、闇に呑み込まれた。
もうダメだ。疲れた。
面倒くさい。全部。何もかも。
学校や塾に行くのも、人と話すのも、勉強することも、頑張ることも。
その闇は、何度も懲りずにやって来る。その度に私の光は失われ、闇だけが後に残った。
でもそれはすぐに去っていった。跡も残さずに。
そしてまた、思い出す。
頑張ること、人に合わせること、笑うこと、話すこと……
こうやって、繰り返している。
孤独を感じ、渦に巻き込まれ……
次々と湧いてくる疑問に頭を悩ませ、自分を見失って………
一度眠れば光が戻る。跡形もなく消えていった、闇のことを忘れて……
こういう時、私を救ってくれるのは、いつも優しい歌です。