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Tさんと片岡さんのデート

作者: お舐め
掲載日:2026/11/05

片岡さんは、もうすぐ結婚って時に、急に気が変わった。それは、Tさんが好きだったからに他ならない。

彼女は六甲山の降り口に立って、彼を待ってた。

「よう、片岡さん、元気かい?何してるんや?」

片岡さんはちょっと照れて、

「いやあ、Tさんの来るのを待ってたのよ」

Tさんは喜んだ。

「おお、それはうれしい。疲れたな。茶でも行こか?」

挿絵(By みてみん)


「はい、じゃあどこにしようか?」

「不愛想な喫茶店嫌やな。コーヒー吐き出すかもしれんわ」

「Tさんは、ワンちゃんとかどう?抵抗ある?」

「ないよ」

「じゃあ、Feliz Gateにしようよ」

「ああ、双葉筋のとこか?あれ最低!

 接客態度めっちゃ悪い女がおるからな。

 前は斉藤和義のおすすめ曲とか紹介してくれる人もおったのに。

 今最低や。あ、もう一人の背の低い方の女性はちゃんと接客態度が 整っていると思う。でも、もう一人のせいで、気分ガタ落ちや。

 二度と行かへん」

Tさんは珍しく怒りをあらわにした。


片岡さんはそれをなだめるように。

「歩こっかー」

二人は一緒に歩きだした。

「ねえ、Tさん、インドダイニング ガネーシャてとこで、カシスソーダでも飲まへん?カシスオレンジもあるわ 」

「おおええやん、ACTAの西館1Fのとこやろ?」

「そうなんよー。やってはるのはネパール人でとても感じがええわ」

「よっし行こう!」

Tさんはスタスタと歩きだした。


しかし、片岡さんはだんだんと遅れてくる。Tさんの方が先だ。

「はあ、はあ、ね、Tさん、もっとゆっくり歩いてよ」

片岡さんは流石に立ち止まって膝に手をやってしまった。

「え、これゆでっくりやで」

「タクシー乗らへん?」

「うわあ、勿体ないで、これしきの距離」

道路に出て片岡さんは迷わず手をあげてタクシーを止めた。


タクシー内、片岡さんは言う。

「まあ楽ちんね」

「うん、快適やわ」

「ね、Tさん、なんでタクシーの事ハイヤーっていうか知ってる?」

「タクシーとハイヤーの主な違いは、「利用方法(予約の有無)」、「料金の計算方法」、そして「車種やサービスの質」やね。

ハイヤーは完全事前予約制や」


すると運転手が反応して

「あんたら、そんな古い言葉知ってるなあ。今時ハイヤーなんて使わへんで」

片岡さんは笑いながら、

「運転手さんはハイヤー乗務員じゃないんですか?」

「ハッハッハ、ハイヤーは路上で拾うことでけへんよ、予約して最初からハイヤーは、車庫を出発して、仕事が終わって車庫に戻るまでの時間が料金対象になるんや」

するとTさんも興味を持って

「大体、どれぐらいの料金になるんでっか?」

運ちゃんは答える。


「短距離でも1万円〜2万円以上(数時間〜終日貸切が基本)やで、高級車扱いやわな」

片岡さんは外を指さして

「あ、ACTAここよ。運転手さん止めて」

「なんぼ?」

運ちゃんが

「1120円です」

「え、これだけの距離でも千円超えるん?」

「ええ、なんでも値上げしてまっさかいな。すんまへん」


片岡さんは

「昔の黒澤明の映画『悪い奴ほどよく眠る』とか見てたら、ワンメーター80円よ!しかも、『暖房車』!」

「今時、暖房車なんていいまへんで」

Tさんはそそくさと千円札とじゃら餞を払った。

「ACTAかあ、久しぶりやな」

「そうなん?私よう行くよ」

「なんで?」

「DoCoMoの携帯ショップ行くからねえ。


2人は、ガネーシャの店に入った。

するとこっちにカップルがいる。

ケンジとともちゃんだ。

「あ、ご両人!どーも」

とケンジは挨拶してきた。

「なんでここ知ってるのん?」

「それは、片岡さんの紹介よ」


片岡さんも挨拶して

「あ、やっぱりともちゃんて背が高いわね。身長幾つ?」

ともかはすかさず言う。

「167㎝よ」

コーヒー飲んでたケンジが吹き出した。

「おい、それは7と6を入れ違えて言ってるだけだろ(笑)」


するとともかは

「 ねえ、このお似合いのカップルに邪魔しちゃいけないわ。これであたしらは出ようか?」

「うん、そうしよう」

「自分ら、これからするんか?」とTさんは尋ねた。

「勿論」そう言って、ケンジはともかと一緒に出て行った。


するとTさんは

「この店、安いやん。同じ一杯500円で不愛想なおばはんがやってる店あるわ。名前は伏せとくけど『南風』とかいうとこや」

「わかったわ。その店にも絶対に行かへんわ」と片岡さんは答えた。

Tさんは、続けた。

「接客態度大事やで。それ一つで店の印象ガラッと変わるからな」

「ほんまや。前田さんがやってるフラットっていう店は?」

「接客まあまあやけど、かけてる音楽がイマイチやな。いくら美味しいコーヒーを出してくれてても、あの音楽じゃ、シラケる」


「まあ、みんないろいろ工夫してるのよ」

「じゃあ、何しよ?」

「カシスオレンジにする?」

「そうしよ、そうしよ」

しばらくするとそこに、ネパール人の若い男性が、カシスオレンジを持ってきた。

「あんがと」

「美味しいわねえ」と片岡さんも満足だ。

「これからどうしよ?」とTさんが訊いた。

「まあ、しばらく話でもして帰ろうよ」

すると片岡さんは恥ずかしそうに

「あれ、せえへんの、あれ?」と言ってたじたじしている。

「いやあ、この小説投稿サイトはアダルト禁止やからな。そんなんの描写書かれへんで」とTさんはきっぱり言った。


すると片岡さんは話題を変えた。

「ねえ、Tさんが山頂に登った時どんな気分?」

「やったー!って感じだね、『俺は栄光をつかんだぞ!』って感じよ。」

すると片岡さんは惚れ惚れしながら、

「カッコいい!流石はアルピニスト!」

「うん、まあいつも上がる山でも、それぞれに感じ方が違うね。あれがやめられへんから、登山に備えて六甲山でトレーニングしてるねん」

彼女は彼の話に夢中になった。「それで、山を下りるときはどんな気分になるの?」

するとTさんは前のめりになって「いや、登りより下りの方が危ないねんで。山の氷が解けてないとことか、滑るしな。気を付けてるねん」

挿絵(By みてみん)


「いいなあ、登山て、わたしもやりたいところだけど、足腰が付いていかないわ」と片岡さんが言った。「ほな、一緒に六甲山に登ってトレーニングしようや」とTさんはうれしそうに言った。

「そうしようそうしよう」

二人はそのあといろんな話をしたが、忘れてしまった。そんなことより、前向きに付き合っていく方がいいからね。

二人は「よっし、じゃあ二人で六甲山頂を目指そう!」と言って、その店を後にした。


つづく、と思う。

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