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男って馬鹿だ

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/09/05

 男って馬鹿だ。


「大好きです」


 この一言で何でもしてくれる。

 お願いをすれば欲しいものを持ってきてくれるし、私の機嫌を取るために何だってやってくれる。

 本当に男って馬鹿だ。



 *



 男って馬鹿だ。


「愛しています」


 この一言だけで何でもしてくれる。

 お願いをすれば私を望む場所に連れて行ってくれるし、私の笑顔を見るために何だってやってくれる。

 本当に男って馬鹿だ。



 *



 男って馬鹿だ。

 騙されていることに気づきやしない。


 私が逃げなさいと言っても逃げないし。

 私が見捨てなさいと言っても見捨てないし。

 私のことなんて忘れなさいと言っても絶対に忘れない。


「馬鹿じゃないの?」


 私を守るためにこんなに怪我をして……。

 そう言って泣いている悪女の心配ばかりして。

 あぁ、本当に男って馬鹿だ。



 *



 女は馬鹿だ。

 何故、こんなにも素直に自分の気持ちを受け入れられないのだろう?

 そう思いながら。


「バカバカバカバカ。死んだらどうするの」


 今日も泣いている彼女の頭を撫でる。


「あなたの家来ですから当然です」

「そこは愛されているからとでも言いなさいよ」


 そんなことを言えば否定するくせに。

 あぁ、本当に。

 女は馬鹿だ。


 彼女に惚れている自分はもっと馬鹿だと思うけれど……。

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