帰ってきた夜
掲載日:2026/06/04
一人静かに帰途に着く。
道ゆく車はまばらで、映画のセットみたいだ。
遠くで救急車のサイレンが小さく響く。
足を止め、耳を澄ませる。
サイレンは小さく消えていった。
そっと、鍵を開ける。
そしてそっと、ドアを閉める。
世界が戻ってくる。
ため息をひとつ吐く。
靴を脱ぎ、手を洗う。
時計は、だいぶ遅い時間をさしていた。
なかなか腰が上がらないけど。
シャワーを浴びる。
泡とともに肩の力が抜けていく。
入った後はやけに体が軽かった。
そのまま冷蔵庫へ。
ビールの缶をカシャリと開ける。
ようやく帰ってきた気がした。




