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第九片
その日、床に就いた後も、あのひとは一晩中、考え事をしている様子でした。
あの時、わたしたちは、一つの寝床を分け合っていました。
貧しい寡婦ふたりの暮らしでは、古い家の部屋や指物すべてを手入れする余裕はありませんでした。
日々の暮らしをする所と寝室ひとつ。
その二つを手入れするので手一杯だったのです。
あのひとと寝床を分け合うことは、狭くても暑くても、わたしにとっては大きな幸福でした。
眠りに落ちるその時まで、あのひとのおそばに寄り添っていられるのですから。
けれど、あの夜ばかりは、その近さが苦しみをもたらしました。
あのひとは何度も寝返りを打って、ため息をつきます。
起き上がってしばらく遠くを見て、またしばらく横になるのを、何度も繰り返していました。
あのひとが苦しい時は私も苦しい。
わたしも眠ることができませんでした。
夜が明け、朝食を摂り終えた後、あのひとは静かにおっしゃいました。
「娘よ、私はあなたの落ち着き所を求めて、あなたを幸せにすべきではないでしょうか」




