第七片
毎日、朝早くから遅くまで、休みなく落ち穂を拾うのは、容易いことではありませんでした。
それに、たった二人きりでの暮らしだから、日々の仕事は山ほどあります。
繕い物が上手なオルパ、あなたが居てくれたら。そう思う日は何度もありました。
それでも、あのひとに寄り添って日々を営めるのは幸せでした。
けれど、麦畑で、痛む腰を伸ばしてふと遠くへ目を向けたとき、柵の向こうに、夫を持つ同じ年頃の女たちがおしゃべりをしているのを見つけると、何とも言えない苦い気持ちにもなりました。
ああ、オルパ、どうか弁解させてください。
わたしは、
「自分も故郷に帰って夫を持てば、こんな辛い仕事なんてせずあんなふうに過ごせたのに」
と後悔したのではありません。
あのひとを、朝から晩まで、あの寂しい侘び住まいにお一人で置いて来ることを、不甲斐なく、可哀想に思ったからです。
いえ、街の女たちが、あのひとの旧い友だちとして訪ねてくれていたのかもしれません。
それでも、わたし自身が、寂しかったのです。
あの女たちのように、わたしもあのひとと楽しくおしゃべりをして、のどかにお茶を飲んで過ごしたかった。
それを叶えるには、わたしの腕はあまりに細い。稼ぎが少ない。日々の糊口を凌ぐのでやっとでした。
そうやって、麦刈りの終わる初夏の頃まで、あのひとと二人で静かに暮らしていました。
けれど、ある日の夜、食卓で、あのひとのおっしゃった言葉が、苦しくも幸せな暮らしを終わりにしました。




