【第2話】 絶望の大地から、光の舞台へ
ピキピキッ
──イニシエのチカラを感じること約1時間。
ぬるりっ
最後にケツをプリンッ!
よし! 一回目の脱皮完了や!
どれどれ…おれのステータスUPはいかに?
フェニたんデータON!
全長 4mm → 6mm
力 1 → 1.2
スピード 1 → 1
体力 2 → 2.2
防御力 1 → 1.1
知能 2 → 2
おいおい、まだレベル2やのに
これ完全にレベルカンスト手前の
ステータスの上がり方やんけ!
もうステータスUPは諦めよう……。
出来るようになったことは…
より深く潜れることと、ちょっと太めの
根からもチューチューできることか。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
おれ:
「なんやこの音?」
マーカス大尉:
「息、足音、気配全てを殺せ!」
…。
ドドドドドッ
──。
遠くの方で仲間の叫びが聞こえる。
蝉A:
「やばい!くるなー!
無抵抗でも容赦なしかあぁーー
憲法くそくらえぇー⋯
ぎゃーーーー
まだ見ぬ景色をみたかったぁーーーッ」
バクッ ムシャムシャムシャ⋯。
ゴゴゴゴゴッ
ゴゴゴッ⋯
ゴ‥。
マーカス大尉:
「な? これが現実や。
死にたくなければ、死神が横を通り過ぎようとも
無となれ土となれ!動けばそこで終わりや。
あいつの憲法への不満、しっかり覚えておけ!
また会える日を楽しみにしとるッ!」
ジジッ…
おれ:
「え?そこ?」
それにしても、ムカデはまじでヤバいな。
アリの大群とかもヤバいやろし
モグラのサングラスも⋯いや、それは関係ないか。
ほんまこれは下手に動けんな。
例えエイリアンの口から口が出てきて
鼻の横をカミカミされようとも。
とりあえず、ステルスチューチューをひたすらするしかないか……。
──。
──誕生より約4ヶ月。(2回目の脱皮/全長8mm)
──誕生より約1年。(3回目の脱皮/全長11mm)
──誕生より約3年。(4回目の脱皮/全長15mm)
……ジジジッ
マーカス大尉:
「おまえも遂に4回目の脱皮を終えた。次の脱皮でいよいよ表舞台や。
でも気を抜くな!あと2年ほどは弱いままや。
3年生き抜いたお前なら大丈夫や。自分のステルススキルに自信を持てぃ!
まぁお前がアリにバレそうになったとき、根になりきってたのは笑えたがな。ガハハハッ!
最後に……命令は一つだ。生存しろ」
ジジッ…
おれ:
(あと2年ほどか⋯常に寝落ち状態だから感覚的にはそんな長くは感じなかったけど、仲間にもあえずに暗闇でただただ隠れて、ほんと孤独だったな。
かくれんぼでおれが隠れてること忘れられて、実は全員もうおらんとかちゃうやろな!?
あー不安だ。でも、確かめようがないし、動くとやられる。みんなを信じて生きよう。)
──約2年後。
……ジジジッ ビュインッ
マーカス大尉:
「いよいよこの時がきたな。今日は声だけじゃなくホログラムでお前を送ってやる!
わしは地中専門や。表には表のプロがいる。しっかり引き継いどるから、外のプロを頼れ。」
おれ:
「マーカス大尉……これで最後なんですね。
今までありがとうございました!」
マーカス大尉:
「それにしてもあのヒヨッコがここまで大きくなるとはな。
“第33幼生群”の仲間たちの分までお前は外で思いっきり輝いてこいッ!(ニカッ)」
おれ:
「あんたファルコン大佐やろ!」
マーカス大尉:
「知らんッ!お前は立派な戦わない戦士だった。
これからは、ステルス×セミ からとって、「ステミン」と名乗っていいぞ。」
おれ:
「ださっ!
なにそのなんちゃら製薬的なネーミング!まぁええわ。
ありがとう!ファル⋯いや、マーカス大尉!」
マーカス大尉:
「お別れだ、隠れて過ごした分、存分に空を楽しんでこいッ!」
……ジジジッ
うっ!?
背中が⋯ムズムズする。
やばい!地上にでねば!
最高の場所で最高の姿になるんや!
えっさ!ほいさッ!
ゴリゴリゴリ……
ヒョコッ
う~ん⋯目が相変わらず見えない⋯
安定できる硬いところ⋯硬いところ⋯
おっ!ここいいやん!
うんしょっ うんしょっ
???:
「お前⋯。どこのぼっとんねん?」
おれ:
「えッ?」
???:
「そこは木やない。子供用自転車のハンドルや。」
おれ:
「うそやん!? おれの5年がッ⋯
表に出たときの為に、必死に口パクで
歌の練習してたのにッ!」
???:
「まぁ 落ち着け。お前のバカさには同情するが
諦めるにはまだ早い。
セミはな、固さと安定感のあるところなら
羽化できるもんなんや。気合でなんとかなる!
あ、お前の場合、子供が自転車乗ったら終わり
やから運もかなりいるな ガハハハッ」
おれ:
「まぁ今は夜中だし、子供が自転車に乗るまでは
まだ時間がある!急がねば!
っていうか、あなたは?マーカス大尉の?」
???:
「そうだ!話はきいとる!今日からお前をアイドルに育てあげるもんや。
名前は……セミᏢとでも呼んでくれ。」
おれ:
「セミᏢ? アイドル?」
セミᏢ:
「せや、お前は今日からアイドルになるんや。
そしてワシがそのセミプロデューサーや。 だからセミᏢや。」
おれ:
「ん? プロデューサなの? プロデューサー的なこともしてるセミプロデューサってこと?」
セミᏢ:
「よー喋るセミやのぉお前!
お前の状況わかっとんかい!」
おれ:
「せやった!もうこれ以上動けん!
ここでやるで!
羽化まで約3時間…オラの身体もってくれ!」
???:
「人生はサバイバルや!例えどこであっても
やり遂げるんが漢やろがいっ!
オラオラオラオラァ!
もう頂上や!早いやろ?怖いやろ?」
セミᏢ:
「見なくてえー。あいつ、猫よけのペットボトル登っていきがっとるわ。
まぁ運次第では…。」
おれ:
「自転車のハンドルがマシに思えてきたわ。」
(よし、集中集中…イメージするんや…アイドルになったイメージ……)
『下積み時代の悔しさも涙も全部力に変えてきた。今、ここで輝くの!』
セミᏢ:
「こ、こいつ花があるやないか!えぇぞ!お前の輝く羽がワシにはもう見えとるで!
ただ、お前はオスやけどな。」
おれ:
「アイドルイメージしたらこうなるんや!」
ガチャっ
おれ:
「おい!玄関の戸があいたがな!
こっちくるなよ!
なんか工具もっとるやないか!
ドキドキ…
きたっ!」
ガシャン!
━━続く━━




