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稲守任三郎とダンジョン戦記  作者: 正方形の木箱
第二章 笹山楓と高須芽愛里
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64話 稲守任三郎と新人教導任務

「といった経緯で、晴れて二人は調査員訓練校を卒業しました。しかし、卒業したばかりの新人を死地に行けと言うのは余りにも酷です。そこで」


「俺が丁度優良調査員申請した、という訳ですか」


「いえ、たまたまではあるんです。他の地域でも、こちらからの要望にはなりますが、教導任務を受けてくださった方は何名かいらっしゃいますから」


教導任務は、加賀曰くよくある新人教育の担当者が付くようなイメージで、やっている事を教えながら、質問があれば答えて欲しいというものだそうだ。


「そう言う事でしたらいいですよ。目標とかはありますか?こっちで決めるのでしたら、養老5層ぐらいでしょうか」


「養老5層…正直まずは、養老の1層で何をすべきか学ぶ所からがいいと思います。危険察知もあそこなら覚えられそうですし。」


「確かにそうですね。分かりました。とりあえず直近の目標としては養老ダンジョンの1層調査を目的とします」


飯岡ダンジョンはワーウルフ、リビングアーマーと、他のダンジョンでは15階層、20階層のボスモンスターと言われる強さを誇っている。

それに養老ダンジョンはあれから様変わりして、1階層にいたスケルトンは10階層に移動している。


ダンジョンが変わってからは深いダンジョンはボスモンスターは5階層、10階層、15階層、20階層に配置されている。

強さとしては、オークの時点で5階層クラスで、越生ダンジョンで低階層クラスで出たのも異例中の異例、そして飯岡ダンジョンは異常という評価がされている。


「まぁ、なるようになりますよ。それにオークを倒したのなら、身体強化魔法も使えますし、他の魔法だって使えるでしょうから」


「わかりました。稲守さん、二人をどうか宜しくお願いします」


「はい。じゃあ二人とも、これから宜しくね」


「「はい!」」


顔合わせから3日後、3人は飯岡ダンジョンへと来ていた。


「じゃあえっと、改めて、これから宜しくね二人とも。正直物事を教えるのは苦手だから都度聞いてくれると助かる」


「「わかりました」」


「とりあえず今日はどうしようか。二人ともオークは倒してるだろうけど、飯岡ダンジョンのオークはまだだよね?」


「ここでではまだですが越生では一度戦いました」


「うちも同じく、でもオークはオークじゃないんですか?」


二人ともまだ一度しかオークと戦っておらず、戦ったのは越生ダンジョンでの事だ。


「んー、他のダンジョンでオークと戦ったことはあるけど、ここだけはやっぱ特別かな。銃にも魔法にも対処してくるから結構手ごわいよ」


「あー、だから映像だと動きが違うんだ」


「うちら稲守さん、あなたの録画した映像をみて勉強したんです。オークとの戦い方も」


「ははは、見られていたなんてね。で、そのオークとその先の為に今日の君たちの目標は全身での身体強化、つまりは通常の身体強化魔法の練習だ。部分強化より大分きついけど、慣れないと動けないからとりあえずやってみよう」


「はい!」


「わかりました!」


まず二人にゴブリンとサハギンを倒してもらって岩山エリアへと移動しながら、二人の戦い方を見る。


(銃の使い方が上手過ぎて教える事は魔法しかないなこれは)


何を教えるべきかを考えながら一行は岩山エリアへと移動する。


「さて、とりあえず二人には身体強化魔法に慣れてもらう。オークとの戦闘も身体強化魔法を使いながらやってもらうからね」


二人は端末を開き、詠唱一覧アプリを開き、身体強化魔法を使ってみる事にした。


「「みゃくけつりゅうじゅうぜんこんごうじゅうこうきんしんせいかいたい、身体強化!」」


今までのように腕と脚どちらかではなく、全身に魔力が行きわたり。筋繊維から毛細血管から何から何まで、魔力が纏わりついていく。

頭の先から脚の指先まで全部だ。


(何これ…全然違う…)


高須はなんとか立って居ようと歯を食いしばる。


(立ってるだけでもきっつい…!)


笹山も手を思いっきり血がでるんじゃないかと思う程強く握り耐えている。


「よし、いいぞ、そのまま魔力に身を任せるんだ」


全身での身体強化は本当にきつい。身体が適応するのに時間がかかるせいだと言われているため、この状態ですぐに動くには相応の精神力が必要になる。


「そろそろ強化に慣れてくるころだ」


先ほどまで体内に感じていた圧力や熱、圧迫感が徐々に消えていく。


「どうだ?思ったよりきついだろ?部分強化は飽くまで一部。通常の身体強化は頭の先から足のつま先まで、文字通り全部を魔力によって保護する。脳のリミッターなんて話は聞いた事があるだろう?あれは脳ではなく、身体へのリミッターなんだ。身体が壊れないように、出せる力を脳がセーブしてしまう。しかし魔法によって保護された身体はその心配がない」


これは刈谷達研究所の受け売りだ。

脳のリミッターという話は研究によって否定されており、人間は常に100%脳を使っているという事がわかっている。

しかし身体は別だ。

骨が折れないように、筋肉が切れないようにする為に脳がセーブする。

身体強化はその心配を無くすことで、そのセーブを無くす。

ただし、火事場の馬鹿力で最大10倍の所を、身体強化では、4倍から6.5倍。

弐式は筋力量の多い脚のみだが、6倍から8.5倍と度合いは控えめだ。


「さ、一度、その場でジャンプしてみてくれ。部分強化とは全然違う事が分かる筈だよ。着地の際は横に転がって衝撃を逃がすか耐えるかは好きな方を選んでくれ」


二人はいつもの感覚で両脚で飛んでみる事にした。


ダンっという音と共に地面が削れると同時に、二人は5m程の高さに到達していた。


「わっ!?」


「はっ!?ちょっ!?」


二人はそのまま両の足で着地して、笹山はそのまま耐える事を選び、高須は前に転がり衝撃を逃がす。


「いったーーーー!稲守さん痛いって言ってよ!そしたらうちも芽愛里みたいに転がったのにー」


「楓、楓、転がった方がやばいかも。髪見て」


「マジじゃん」


転がった事により髪型は崩れ、土と砂で汚れてしまった高須の姿があった。


「ははは、髪については申し訳ない。配慮が足らなかったね。ま、とりあえずはそんな感じで、身体強化魔法の効果は凄まじい反面、制御が難しいんだ。これになれてからオーク、ゴーレム、そしてワーウルフの討伐を君たちには目指してもらう」


「あの、オークはともかく、ゴーレムは初めて聞きました」


「うちは調べたけどよくわからなかったです。コア?とかいうのを壊すってことぐらい」


「ま、ゴーレムはオークよりかは楽だから、実際に見た方が早い。さ、身体強化魔法もそろそろ切れてしまう頃だ。一度休憩を取ろう」


「「はい」」


その後二人は身体強化魔法の反動により座り込んでしまうが、岩山エリアにある休憩用テントまでなんとか歩く。

二人をそのままテントで休ませ、稲守は一人サハギンエリアで釣りに勤しんでいた。


ダンジョンイワシは繁殖に成功はしているものの、増加する消費量に供給が追い付いていない状況だ。

繁殖にしても成体の確保は定期的に必要で、今回ここに入る時にも持ち帰るように依頼されているのだ。


ちなみに網を使って取ろうとすると、サハギンがすぐに沸く為、釣り竿に練エサをつけて釣るしか方法が無い。

主に繁殖用の個体となるので、釣り針で傷がついても問題は無いらしい。


(館山だと海エリアがあるがあそこはモンスターが多いからなぁ)


釣りの効率で考えると、飯岡ダンジョンは丁度良い。


「よっと、5匹目」


釣りざおを引き上げ、籠にイワシを入れて新たな餌を付ける。


(とりあえず10匹って思ったけどそろそろ二人も動ける頃だろうか)


そのまま釣りに夢中になって10匹目を釣りあげた頃、身体が休まったのか二人はエリアに入ってきており、何してるのか気になったのかこちらに近づいてきた。


「どうだい?釣りでもしてみるかい?」


「釣り?ですか?釣りよりも私たちは調査の仕方を教わりたいです」


「今のところ戦い方ばっかでよくわかっていないんです」


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