9、櫻の呪われた過去
.....。
半分は知ったこっちゃない。
これは.....アイツへあてたものだ。
警告でもあり。
そしてアイツへの希望。
そういう事になる。
「.....お兄」
「.....何だ?櫻」
「あまり優しすぎると足元を掬われるから。.....だから気を付けて」
「.....お前ってさ」
「うん」
「.....随分と俺の為をしてくれるよな。 .....どうしてだ?」
それは勿論お兄が好きだから、と答える櫻。
俺はその言葉に顎に手を添える。
それだけじゃないだろ、と言いながら。
そして櫻を見る。
「櫻。お前は.....昔何かあったんじゃないのか」
「.....何かってのは何?」
「.....例えばいじめられたとか」
「.....壮絶な人生なら歩んで来たよ。.....私。.....例えば友達が自殺したとか」
「.....何.....」
俺は愕然としながら櫻を見る。
櫻は手すりを触りながら、りっちゃんっていう子だったんだ。.....律子ちゃん。.....私の.....大親友だった。.....だけどいじめの中で自殺した、と答える。
その言葉に俺は眉を顰める。
「.....身投げだった。川にね」
「.....そうだったんだな」
「うん。.....それでもうその学校には私は居れなくなった感じで.....引っ越したの」
「.....そうだったんだ.....な」
「複雑だったよ。.....律子ちゃんの居場所も無くなった場所を引っ越すの。.....私は.....とっても悲しかった。律子ちゃんも忘れられてしまって.....」
そんな学校はクソだな、と言う俺。
すると櫻は、だね、と答えながら自嘲してから言葉を発する。
私に関わらなかったらこうならなかった、と言いながら。
俺は、?、を浮かべて櫻を見る。
櫻は、私が虐められていたから.....それを庇ってから被害に遭った。.....だから虐めた相手を許せないのもあるけど.....私はそれよりも.....律子ちゃんと関わらなかったら良かったって言う絶望感がね、と震えながら言葉を発した。
「.....成程な」
「私は.....馬鹿野郎だった。愚かだった。その手を.....振り払えば良かった」
「.....そうすれば大切な物を失わずに済んだと?」
「そうだよ.....私が殺した様なものだし」
「それは幾ら何でも極端だ。.....相手が悪い。.....それは虐めた相手が」
「.....」
この髪の毛をイジられてね、と櫻は俺に向く。
それから、銀髪でしょ?.....お前英語話せないの?、とか言われてね。
俺はその言葉に真剣な顔になる。
そして耳を傾けた。
「.....銀髪が妬ましいよ」
「.....アルビノ故に虐められていたんだな」
「律子ちゃんは違った。私の髪の毛がきれいって言ってくれたんだ。.....だけど死んじゃったから」
「.....」
涙を浮かべる櫻。
俺はその姿を見ながら、皮肉な世界だな、と思う。
そして、櫻。お前の銀髪はあくまで綺麗だと思う。.....俺は.....お前がそんな目に遭っているとは思わなかった、と申し訳無さそうに答える。
櫻は、うん。お兄ならそう言ってくれるとは思ったけどね、と笑顔になる櫻。
だけどまた悲しげな顔をした。
「.....悲しいよ。こんな人生も」
「.....分かる。.....気持ちは。.....痛い程に」
「アハハ。お兄は優しいね。.....有難う。お兄」
「.....俺は何も出来てない。褒めているだけだ」
「いいや。それでこそヒーローだよ」
そして櫻は、行こうか、と笑顔を浮かべる。
今のクラスは最高だよ、とも言いながら。
俺は、?、を浮かべながら櫻を見る。
すると櫻は、だって誰も銀髪を指摘してこないから、とも。
「.....醜い銀髪だけど.....それでもみんな笑顔で振る舞ってくれるから。.....嬉しいんだ」
「醜くない。.....お前の銀髪は.....本当に綺麗だ」
「.....有難う。お兄」
俺達は教室に戻る。
それから授業を受け始めてから.....昼休みになる。
すると櫻が寄って来た。
そして、お兄。お弁当作ったから屋上で食べよう、と切り出してくる。
俺は、そうなのか?、と返事をする。
「うん。お兄の為にまさに一生懸命に作りました」
「.....そうか。.....じゃあ屋上で食べるか」
「うん。じゃあ行こうか」
そして俺達は屋上まで移動を開始する。
それから屋上にやって来た。
今日は晴れていて良い天気だ。
外で食べたい気分である。
だから屋上にやって来たのだが。
.....。