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3、ラブコメ系

.....。

まず現段階を纏めてみる。


1、俺は櫻に好きとは言われたが櫻の記憶が無い。

2、何故俺が好きなのか分からないがかなり前から好いているという。

3、相手は俺を覚えている。

4、許嫁になる為に俺と兄妹になるのを提案した。

5、俺はそんな気は無いのだが迫って来る。


どうなっているのだこれは。

思いながら俺は眉を顰めながら目の前の櫻を見る。

櫻は全く嫌がる事無く漫画を読み進めている。


今読んでいるのは三等分の花嫁。

人気絶頂のコミックのラブコメ。

男性向けだと思うのだが櫻は没頭していた。


「.....私、こういうのが好きかも」

「.....こういうの?」

「ラブコメ系」

「.....ラブコメ系が好きなのか?」


そうだね。

丁度今が恋愛の真っ只中だから。

と言いながら櫻は笑顔を浮かべる。

それは.....確かにそうなのだが。

俺は恋愛を受ける気はないと言った.....丁重にお断りした。


「.....面白いね。この漫画。.....私気に入っちゃった」

「三等分の花嫁は有名だな」

「.....そうなんだね。アニメにもなったの?」

「そうだな.....アニメにもなった。そして劇場版からグッズまで」

「.....ふむふむ。.....という事はアニメグッズが何処かに売られているのですかな?」


まあ単純に考えるとそうなる。

思いながら俺は櫻を見る。

櫻は目を輝かせて、じゃあさ。今度一緒にデートしよう、と提案してきた。

オイ!!!!?俺の丁重な断りの意味は!?


「丁重のお断りしたろ。そういうのはしないって」

「したっけ?私はそういうの通じない」

「.....」

「行こうよ〜。きっと楽しいって〜」

「まあ楽しいとは思うけど.....」


じゃあ決まりだ、と笑顔になる櫻。

それから俺の手に細い華奢な指を添えてくる。

俺はその事にビクッとなりながら赤くなる。

お兄はおかしな人だね。.....この程度で赤くなるなんて、と揶揄ってくる。


「俺は.....その。.....色々あるから」

「そうなの?.....アハハ。じゃあ慣れるの特訓しないと。.....でも聞いた噂じゃ幼馴染さんと付き合っているって.....」

「.....あ、ああ。.....それな」

「.....もしかして元気が無いのはそれが理由?」


本を置きながら真剣な顔をする櫻。

俺はその姿に、いや。.....まあそれもあるけどな、と苦笑する。

そして誤魔化した。

だが櫻は、浮気でもされたの、と突いて来る。

俺はその言葉に沈黙した。


「.....そっか.....じゃあ今から忘れよう。そんな女」

「.....」

「.....私は絶対に浮気しない。.....貴方を見捨てない.....私は貴方を生涯愛する」

「.....」


でもそっか。

そういう事があるからお兄は私と許嫁を断るんだね、と苦笑いを浮かべる。

それから真剣な顔をした。

それは話し合いをしないとね、と怒る様に言いながら。

許せないね、と言いながら。


「.....私は絶対に許せない」

「.....キレても仕方がない。こればっかりはな」

「でもこれで良いの?お兄。私はあくまで怒りしかないけど」

「これで良いも何も。.....何かして俺らとお前に反撃が食らってきたら意味がないだろう」


言いながら俺は目線をずらしながら外を見る。

そしてメガネを拭く。

すると柔和な顔で、そっか、とまた言ってから俺の眼鏡を持つ.....櫻。

な、何だ、と思いながら櫻を見る。


「.....格好良い顔してるね」

「.....揶揄うな」

「.....えへへ。.....でも良かった。このまま浮気されているならもう私のものにしても良いよね。お兄を」

「まあな.....確かに」


でも俺はもう恋愛する気は無いよ。

と言いながら頭をゆっくり下げた。

それから、御免な、と告げる。

すると櫻は、ううん、とまたニコニコした。


「.....私は.....本当に安心した。.....お兄がこんな目に遭って。.....その女はぶっ殺したいぐらいだけど。.....でも良かった。.....私はこれで安心してお兄を襲える」

「.....お前.....襲うって」

「夜這いも出来る」

「いや夜這いをすんな!?」


というのは冗談だけど.....でもそういう事もアリだよね、とウインクした櫻。

俺はその姿に盛大に溜息を吐く。

それから、冗談でもよしてくれ、と眼鏡を掛ける。

そして苦笑いを浮かべた。

.....。

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