1、浮気
.....。
一人っ子である。
それは誰の事かといえば俺、三角冬夜の事だが。
17歳、現役県立高校生。
そして黒の短髪。
それから少しだけ俯き加減の痩せている黒縁メガネ。
母親が亡くなり親父に育てられた一人っ子で.....甘やかされて生活していたせいか。
俺はどうも周りにも甘くなった様だ。
そして俺は.....幼馴染の、七星星羅に浮気された。
あまりにも絶望的な感じはする。
だが.....浮気されて何だかそれはそれでもう死ぬしか無いと決める事が出来た様な気がする。
「.....クソッタレだな」
目の前のラブホに星羅が別の男と入って行くのが見え.....た。
というか追跡したらこのザマよ。
正直言って絶望も感じるが.....でも。
それ以上に諦めも感じる。
「.....やれやれ」
星羅は良い子だった、と思う。
俺なんかに構ってくれる様な.....そんな幼馴染だった。
だけど今となってはもう限りない絶望だな。
思いながら俺は暗い道を.....いや。
正確には明るいんだけど暗い道を歩いていた。
「.....忌々しいこったな」
俺はそんな事を呟きながらそのまま帰宅をする。
そしていつもの通り明るく無い自宅。
つまり.....親父が働いていて俺しか居ない暗い家に帰る。
のだが何故か電気が点いていた。
心臓が跳ね上がる。
まさか.....泥棒か。
思いながら俺は身構えつつ。
そのままドアをゆっくり開けると.....目の前にローファーがあった。
そして何故か知らないが女性モノの靴が。
俺は、???、を浮かべながら、まさか靴を脱ぐ強盗?、と上がってみる。
するとドアが開いた。
物凄い銀髪の美少女が居.....た。
え?、と思いながら俺は目をパチクリする。
「.....あ。お兄」
「.....誰?」
「あ。初めましてだね。.....私は櫻です。.....入谷櫻です」
「.....いや。知らない.....誰?」
笑顔を浮かべるモデルでもやってんのか、と思うぐらいの美少女だ。
美少女の不審者?、と思いながら俺は警戒する。
すると奥からまた凄まじい美女が。
というかちょっと歳を取った様な女性。
「あら。お帰りなさい。.....貴方が冬夜くんね?」
俺はその言葉に、???、を浮かべながらまた見る。
すると、私は入谷雫よ、と笑顔になる。
俺は、はあ.....、という感じで反応してみせる。
そうしていると入谷さんが、私達の事知ってる?、と言ってくる。
「.....再婚したの.....知っているかな」
「.....へ.....ってそれってまさか親父と?」
「そう。輝利哉さんと結婚したの」
「.....な、何も聞いて無いっす.....」
俺は愕然としながら、親父の野郎、と思う。
再婚したって.....それで家に居たのかこの人達は。
思いながら俺は、親父からの頼まれですか?、と聞いてみる。
すると、うん。そうだね。お兄、と言ってくる櫻。
俺は、で、でも何で銀髪、と聞くと。
「.....私の髪の毛はアルビノなの」
「.....アルビノって.....」
「だから銀髪なんです」
すると入谷さんが、再婚したから私達の名前は三角になるけど.....今日から宜しくね、と笑顔になる入谷さん。
俺はその言葉にハッとする。
それから櫻を見る。
櫻は俺を見ながら、宜しく、と笑顔になる。
「.....宜しくです」
俺はその様に言葉を発してから。
そのまま階段を登ろうとする。
そんな様子に櫻が、何処に行くんですか?、と聞いてくる。
俺はその言葉に、ああ.....その。2階に上がろうかって思って、と話す。
「じゃあ私も行って良いですか?」
「.....え.....2階に来ても何も無いけど.....」
「お家の中を探検したいです」
「.....そ、そうなんだね.....」
俺は汗をかきながらそう反応する。
それから、まあ勝手にしてくれ、と返事をした。
そうしてからそのまま俺は部屋に入ると何故か櫻まで入って来る。
俺は、!?、と思いながら櫻を見る。
「これがお兄のお部屋なんですね」
「い、いや.....勝手に.....」
「私は気にしませんよ」
でも、お、男の子の部屋って.....何かエッチなものがあるんですよね.....?、と俺に向いてくる。
俺はボッと赤面しながら、は!?、と反応する。
すると、えへへ、と櫻は言う。
それから俺を見てきた。
「宜しくですね。お兄」
「.....」
汗が噴き出る。
思いながら俺は考えて.....そして直ぐに眉を顰めてしまった。
そんなに仲良くしてもらっても、とも。
俺は.....。
.....。