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小さい頃の特別

一話を全部書き替えました!

知らなかったでしょう?(そりゃそうだ!)

では、どうぞ!

「……あなたは特別。あなたは特別。外見も、頭の良さも、皆とは違う。特別に生まれてきたのよ」


 ママは僕に言った。

 小学校一年生ぐらいだった。いや多分、もっと小さい時だ。ビルのガラスに反射している自分を見ている時に。旅行先ですれ違った、同年代の子供を目で追いかける度に。そのように優しく語りかけられた。そういう時のママは、なぜか言葉とは裏腹に、物憂げな顔をしていたと思う。


 ――僕のママは、どうしてそう言ったのか。

 単なる親バカの可能性は十分ある。

 もしくは、僕の立ち振舞いの中で、自分に自信が無いような仕草や行動が見受けられたのかも知れない。ママは、それを大丈夫、心配するなと言いたかっただけなのかも知れない。

 だけど、僕は誤解してしまった。本当に自分が特別な存在で、他人とは違う【出来の良い子】なんだと盛大に錯覚してしまった。努力を怠り、他人の活躍を妬むようになってしまった。

 僕のミスを挙げるなら、それぐらいだろう。


 高校一年生の一学期。その日は快晴だった。新芽が顔を出し、梅雨に入り去っていけば、もう夏が来る。

 

 正門の真ん中に椅子が置かれていた。教室にあるはずの椅子が、寂しくぽつんと置かれている。椅子は散々と暴力を受け続けたようで、四本あるはずの足が三本しかない。誰かが座ってしまえば、すぐにバランスを失って倒れてしまうだろう。

 登校する生徒達は、一脚の椅子を見ながらざわついていたが、誰も近寄らず、正門の端を歩いて校舎に入った。

 教室に辿り着くと、それが僕の椅子だったと判明した。クラスの皆が、立ち尽くした僕を見ていた――。


 ――誰だよ? こんな事をするの。マジでむかつく。


 犯人は一人ではない。そう思ったのは、眠る時間が増えて暗闇に目が慣れた頃だった。少し冷静になって、心の整理がついた頃だった。

 そして漠然とした恐れは、もう消えなかった。それは行動しようとすると必ずやって来て、僕に纏わりついた。じっとしていると、日に日に増していくようだった。


 ――そういえば……。ママは、特別という言葉を使わなくなったな。


 暗い海で漂いながら、負けないぐらいに、どんよりとした空を眺めていると、厚い雲を割って陽が伸びてきた。光の筋が、どんどん増えて急に眩しい。その光の中で、僕に手を差し伸べる女性がいた。天使なのかと思った。


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