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あたしのアサシンがとんでもない件  作者: おにまる
第四章 魔王城侵入クエスト編

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新たなる配下

お待たせしました。お待たせし過ぎたかも知れません。

いよいよ新章開幕です。


よろしくお願いします。


~魔王城最上階~




 「クッ・・・・クク・・・・フッ・・・」


 (なんだ・・・私は笑っていたのか?・・・)


 魔王アリスは、ハンターに扮して、その者どもが集う余興に紛れ込みその実力を探っていた。

目的はハンターの実態調査のようなものだったが、いつ知れずその者どもの集いが心地よい物に移り変わってる自分を否定するかのように、深層心理に蓋をするが如く、ハンター活動を遠ざけるようになっていた。


(あの時、私はためらったのか・・・なぜ・・・)


 ハンターに扮してのその者どもが集う余興をぶち壊してやるつもりでいた・・・

魔王の力を開放すれば、現状のハンター共を塵にすることなど野を焼くことより容易い物だが・・


(あの居場所を失いたくなかった?・・・いや違う・・・ほんの少し余興に付き合っただけだ・・・)



 魔王アリスの傍らには、剛腕の魔将ベルナルドがこちらに目を向けていた。

だが魔王アリスを()()はいないのだ。その証拠に今の魔王アリスの動向になんの反応も無い。


 ハンターの魔界エリアでの活動も活発になってきており、魔王アリスのもつ「不屈の魂」もようやくもう一人分溜まっていた。


 (頃合いだ・・・魔将ベルナルドの目覚めの時だな・・・・楽しみだ。)


「我が軍きっての剛腕の魔将ベルナルドよ、我の前に!」


「ハッ、ベルナルド御身の前に。」


「はぁーいよいよですね、ベルナルドもあの世界が変わる感動に身を震わせるんですね。」


 傍らに付き従う副官リリスも、()()高揚感は決して忘れられず、自身の()()日の再現に立ち会う事に感動を露わにしていた。


「これより還魂の儀を行う。受け取れベルナルドよ!」


「御意」


「不屈の魂」を受け取ったベルナルドが眩い光に包まれる。

その直後燃え盛るような赤いオーラに包まれるベルナルド。


「おっ・・うぉおおおおおおおおおおおおおお」


「フフッ ベルナルド感じるでしょ、あなたの内から燃え上がるものが。」

その一部始終を恍惚とした瞳で、眺めるリリスは呟いた。


「なんじゃこりゃー・・・この血沸き肉躍る感覚は一体!力が溢れるぞ・・・魔王よこれは・・・」


 魔界きっての剛腕の魔将ベルナルドその本性は、随一の戦闘狂。その闘争本能が溢れんばかりに体の内から湧き上がってきたのである。


初めて自我に目覚めそれを抑え込むのにその身を打ち震わせていた。


「どうじゃベルナルドよ、お前は今目覚めたのだ。我に従う者か?」


魔王はわかっていたのだ。ベルナルドの本性を。力には力を・・・


燃えるよな真っ赤な総髪に吊り上がった太い眉。そして金色に輝くその眼はしかと魔王を見定める。

今初めてベルナルドは魔王リリスを視たのだ。


「魔王よ、俺も強者ゆえにわかる、その内に秘めたるあんたの力が。だが俺は俺よりも強い奴にしか従わぬ!」


「不敬だぞ、ベルナルドよ!魔王様の御前で!」

一気に禍々しいオーラを身にまとい戦闘態勢に入るリリス。


 「いいんだ、リリス。下がれ。仲間内で喧嘩の一つくらい珍しいものではない。それこそ自我のある証拠だ。我は今最高に心地よいぞ。」


 「ハッ 魔王様。」


従いながらもリリスはそのオーラを鎮めることなく。ベルナルドを睨みつける。魔王アリスより一声かかれば数あまたの凶悪無比な魔法攻撃がベルナルドを襲うことであろう。


 「魔王よ、その力を俺に示してくれ。納得できるまで・・・」


 「いいぞ、ベルナルドよいつでもかかってこい。」


 その魔王の返答の直後、ベルナルドの燃えるような赤く長い総髪が弾け、文字通り燃え上がる炎の様に体を包む魔闘気が膨れ上がった。


 「俺の渾身の一撃をこれから放つが、構えもしないのか。」


魔王リリスは紫に輝く綺麗な髪をかき上げ玉座で座したまま優雅に足を組み、肩肘に頬杖を衝いて微笑んで言った。


 「リリスよ。何があろうと手出しは無用ゆえに。」


リリスのギリッと歯噛みする音も聞こえぬそぶりで、ベルナルドは天井まで達するほどの魔闘気を膨れ上がらせ力を溜める。


 「いざ、参らん!」


 ー魔闘戦塵烈覇ー


一歩魔王アリスに歩み寄り、天まで膨れ上がったその魔闘気がベルナルドの体内に急速に吸い込まれていく。次の瞬間全てを屠りさる様な力の奔流が魔王アリスに向けて放たれた。


 すぐ横のリリスもあまりの力の奔流に思わず物理抵抗障壁を繰り出し、歯を食いしばって巻き込まれそうになるのを踏ん張り耐えしのぐ。


 ベルナルドの放った一撃は、間違いなく全てを無に帰す、とてつもない破壊力を持ったもので、頑強な魔王城の壁が吹き飛ばされ、そこには嵐の様な爆風が吹き上がっていた。


 「魔王様!・・・」


 その直後リリスは信じられないものをその眼に見たのだった。


 涼しい顔をして頬杖をついたまま、逆の手でベルナルドの拳を手を添えるかの如く、静かに制していた。

魔王アリスの玉座を除いたその周辺は、ごっそりとベルナルドの一撃に持っていかれたが、魔王アリスは、まるで涼しいそよ風を受けるようなその瞳で、ベルナルドの拳に手を添えていた。


 次の瞬間魔王アリスは、その添えた掌をくるっと指先を下に180度回しただけだったが・・・


 ベルナルドはグルンと視界が回るのを感じた。

気が付けば自身は魔王アリスの前で仰向けに寝転がり、その大きな体躯は大の字になり、下から魔王アリスを見上げていた。


(こ・・・これほどの力の差が・・・)

ベルナルドは、魔王アリスと自身の間には覆りようの無い力の差があるのを実感した。


「どうした、ベルナルドよ、もうよいのか」


ゆっくりとその大きな体躯を起こし胡坐をかいたまま静かに魔王アリスを視た。

ベルナルドの大きな体躯ゆえ、ちょうど玉座に座した魔王アリスと同じ目線になっていた。


 「今のはこのベルナルドの渾身の一撃だった。それを受けてそんな涼しい顔されちゃ覆りようの無い力の差は、誰でもわかるってもんだ。」


ベルナルドはゆっくりと姿勢を正し、魔王アリスに片膝をつき力強く申し上げた。


 「この魔将ベルナルド、魔王アリスに全身全霊をもって忠誠を誓う!」


 「魔王アリス。我はそなたの忠誠を受け入れる。」


 魔王アリスは、ベルナルドの忠誠を優しく我が子を視るような眼差しで受け入れた。




 そこで怒りが治まらないのがリリスであった。自身が全てを投げうってでも守りたいその魔王に拳を向けたベルナルドに憤りを隠しきれずにいた。


 「ちょっとあなた!この神聖な魔王城にこんな大穴開けて何を考えているの!それにどなたに拳を向けたかわかっているの!」


 「うっせーな。そんなキャンキャン吠えなくても分かっているよどんな罰でも受ける覚悟だ。」


 その二人のやりとりを微笑ましく見ていたアリスが堪えきれずに噴き出す。


「フフッ・・・アハハハハ。そうだこれを見たかったんだ。我はこの光景が堪らなく心地よい。よってベルナルドの一切を不問とする。いいなーこういう風に語り合うのは心地よいぞ。」


 「ほら魔王も上機嫌じゃねーか。」


 「ベルナルド!あんたってやつは・・・」


二人のやりとりを微笑ましく眺めていた魔王アリスは、その光景にまた笑い声をこだました。













お付き合い頂きありがとうございました。

またしばらく更新していく予定です。



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