交流戦ー7
よろしくお願いいたします。
~OMG視点~
「ロックスが来た。プロテクトかけたから30秒は持つ」
「了解、一分耐えれる?」
「正直微妙だな。」
GVGの前線は、OMGが、前衛を邪術士の式神で剥がし、優勢に傾きかけていた。
そこに暴勇バベルの闘魂が最大限溜まり、猛ラッシュをかけ始めていた所だった。
今から本陣に援軍を送っても間に合わないかもしれない。
それより全軍総攻撃で、こちらを先に落とす!幸いロックスはこちらにはいない。
「なんとか耐えてくれ、こちらを先に落とす!」
念の為二人だけ、本陣に帰還する指示を出したが、その人数で、ロックスを止めることはできないだろうとたっくんは、予測していた。
ほんの少し、時間が稼げればいい。
邪術士が狙われるのは分かっているので、狙われるぎりぎりのラインで牽制し、それに釣られた者を暴勇バベルが猛ラッシュで叩く、後続は血まみれキャリーがファイヤーウォールと毒沼で足止め。
いよいよ、きんぐにその牙が届く所まで追い詰めたOMG。
「今度は倒させてもらう。」
今回は仲間の支援と総攻撃があるのだ。OMGもきんぐまでたどり着ければ十分に勝算はあるはずだった。
「全力できんぐさんを守ります!」
普段とは逆の光景で、相手マスターのやんやんさんが、バフを掛けつつ前に立ちふさがる。
この日の為に耐久仕様にしてきたやんやんさんは、硬かった。
防御アップ系のバフを重ね掛けし、回復系スキルを複数回しながら、耐える。
ヒーラーがここまで硬いとは、たっくんも正直誤算だった。
ロックス襲来後、一分経過したときにその知らせは全体に届いた。
ゾッド陥落。
~~~~~・~~~~~~・~~~~
これで交流戦は、クレイジーギアの2勝となり、勝ちは最終戦に持ちこむ前に決着した。
そこでクレイジーギアのマスターから申し出があった。
「たっくんさん、これで今回の交流戦の勝敗はつきましたので、最終戦はやめておきます?」
「そだね、今回はうちの負けだね、だけどここで僕だけ逃げるわけにはいかないからね、やるよ?」
たっくんからの申し出で、勝敗は決したものの最終戦まで行う事になった。
(もう、決着ついたからやらないでいいのにね。)
〔そう簡単に割り切れるもんじゃないさ。〕
(そういうものなの?)
彩音はMMOAPGというものを始めて日が浅く、その辺のプライドとかそういうものは、あまり理解できてなかった。
それが無ければ、笑って負けを認め最終戦を煙に巻くこともできる。
対人特化ギルドが対人交流戦で負ける。そう簡単に割り切れる者ではない。
予定通り、最終戦は行われる段取りとなった。
クレイジーギアの代表として、ロックス。
そしてOMGの代表として、たっくん。
大勢のギャラリーと両陣営が見守る中、対峙する二人。
静かに開始の合図を待つ。
「開始!」
ー黒亀召喚ー
ー式神鳴動ー
開始とともに堅固な守りを得意とする式神を召喚するたっくん。
そして鳴動により式神を倒さない限りは、ダメージは受けない。
これで、開幕即死は防いだたっくん。
この式神は攻撃スキルを持たない。
ただ自信を硬くするバフを掛けるが、これが異常に硬い。
ただし、これの対策としては状態異常に弱いので毒状態にして攻撃すると割かし早く落ちる。
ロックスももちろん理解してるので、毒霧とポイズンナイフを使って黒亀を猛毒状態にする。
その間にたっくんは、自バフと物理ダメージを低減させる領域を自分の周りに設置。
領域の展開には少し長い詠唱を必要とするので、それまでの時間稼ぎだろう。
ロックスが黒亀を倒し終える前に、スロー効果のあるスキルをたっくんが発動。
しかし、ロックスはアクセの効果でスロー無効だった。
黒亀を倒し終えると悠然とたっくんに向かうロックス。
下手に攻撃すると暗雲転身で躱され、ハイド状態で後ろを取られるので、迂闊に手を出せないたっくん。
ー雷神召喚ー
邪術士の式神の中で最も攻撃力の高く、召喚者と一体になって、覚醒状態になれる奥の手がある。
邪術士の代名詞的な技だ。
ー紫電ー
雷神の力を借りて電撃を飛ばす魔法攻撃だ。
雷神召喚の時点で素早くマジックダガーに持ち替えてたロックスはこれを難なく切り裂く。
ーマジックブレイクー
背後を取ったと思った瞬間だったが、たっくんもそれは読み、自身を中心とする範囲スキルを発動。
ー大地奮起ー
自身の周りの土が跳ね上がり、吹っ飛ばされるロックス。
追い打ちのチャンスだ。
領域外に出るリスクはあるが、奥の手で追随する。
ー式神覚醒憑依ー
覚醒状態では、一分間状態異常無効に、攻撃力2倍だ。
攻撃を受けるロックスを始めて見た彩音は小さく声をあげる。
(ロッくん!!)
猛然と襲い掛かるたっくんに、さすがのロックスもここは、エスケープ。
からの初手に合わせて、暗雲転身ー
それに合わせてたっくんも雷撃放電で、ロックスを炙り出すが、勝負の際と見たロックスも、無敵奥義残影乱舞発動。一瞬で削り落とされそうなところをたっくんがエスケープ。
ー雷神流撃槌ー
ロックスの無敵技の終わり際を狙い覚醒状態で、最大火力の一撃を叩きこむ。
ー明鏡止水ー
「うそだろ・・・」
ドーンと吹っ飛ばされるたっくん・・・
起き上がることは無かった。
ロックスの代名詞の超が3個程つく難易度の返し技だ。
あまりの白熱した、息が止まりそうな攻防を見たその場の者は、一瞬声が出なかった。
誰からともなく巻き起こる拍手。
場内は歓声に包まれた。
両ギルドのプライドをかけた交流戦はクレイジーギアの全勝という形で幕を下ろした。
「お疲れさまでした。最高に熱い交流戦でした。」
「お疲れ様、やんやんさん、約束通り今後手出しはしない。
というか、今日でOMGは解散する・・・」
「えっ、解散まではすることないんじゃ・・・」
突然の発言にやんやんさんも戸惑う。
「これは僕なりのけじめさ。」
対人特化ギルドが対人交流戦で完膚なきまでに叩きのめされたのだ。
プライド所か、メンツ丸つぶれである。これでは抜けるギルドメンバーも出てくるだろうと予測してのたっくんの決断だった。
「ちょっと待てや、何勝手に決めてんだよ!」
鬼の形相でたっくんに、せまる暴勇バベルさん。
「だって対人特化ギルドが対人で全敗だよ?、みんなも愛想つかしたでしょ・・・」
「今日の試合を見て、笑うやつがいると思うか!?OMGの事を笑うやつがいたら俺が全員ぶっ殺してやる!、だから解散とか言うな!」
「そうだ、もし解散するならギルメン全員に10億配れ、それができないなら笑われても続けろ。」
血まみれキャリーさんも解散させるつもりはないようだ。
「みんな・・・・」
「こんなギルド解散して野放しにしたら、大変だよ?たっくんしかいないでしょ、纏めるの。」
「最初の頃なんか対人も実装されてないのに、対人ギルドってなんだよって皆に笑われたよなw」
ゾッドさんが、当時を懐かしそうに言う。
「良いギルドメンバーをお持ちのようですね、これは辞められない、止まらないですね。」
きんぐさんも背中を押す様に、たっくんを宥める。
そうなのだ、MMORPGを続ける中で、良いギルドメンバーとの出会いは、ゲームを継続するうえで、必須といってもいい。
逆を言えば、良いギルドメンバーに囲まれると辞められない、止まらないのどこかで聞いたことのあるフレーズになるのだ。
「ありがとうみんな、こんな僕だけどまた一からやり直し、必ずリベンジします!」
「交流戦なら、いつでもお待ちしておりますよ。」
この交流戦をみたギャラリーは、笑うやつはいないだろう、いるとしたらこの熱い戦いを見て無い者だけだ。
こうしてクレイジーギアとOMGの交流戦は、フェアリー界に語り継がれる一戦となった。
お付き合い頂きありがとうございます。




