選抜
よろしくお願いいたします。
クレイジーギアのメンバーは、装備の更新のため、ダンジョンやネームドをひたすら狩りまくっていた。
もちろんロックスもネームド狩りに参加し皆の装備の更新のために活躍していた。
それぞれができるベストを尽くせるように。
「はいこれ、あっちゃん、どうぞ。」
「ありがとーフレイムルビー2個目ゲットだぜ!」
ロックスから忘却のリリーよりスティールしたフレイムルビーを受け取ったあっちゃんは上機嫌だった。
「他に行きたいのありますか?」
「とりあえずは、町に戻ってアクセサリーを更新してきます。」
皆それぞれが、新しく手に入れた宝石をアクセサリーにはめ込んだりし、準備は着々と進められていた。
MMORPGにおいて何といっても嬉しいのは、やはり装備の更新だろう。
一つ一つの積み重ねで昨日よりも強くなる。それが実感できるときはこの上なく至福の一時である。
一通り装備の更新が落ち着いたところでマスターのやんやんさんから、交流戦の選抜について、皆で話そうとギルドメンバー全員に集合がかかった。
ギルドホールには闘志に燃え、ついにこの時が来たかという熱い気持ちが抑えられないメンバーが集まっていた。
「皆さん本日はお時間いただきありがとうございます。
今日は先日からご案内させてもらってます、交流戦のメンバー選出についてです。」
この時ばかりは皆真剣でちゃかす者もいなかった。
皆が次の言葉を固唾を飲むかのような緊張感を持って待っていた静寂を打ち破ったのは、きんぐさんだった。
「やんやんさんと、ある程度のメンバーは思い描いていますが、やはりまずは立候補者を優先しようかと思っています。まずは、最初の種目の先鋒から大将までの5番勝負に出たい人いますか?」
「はいはーい、あちし魔法少女になる!」
「俺も出る」
「もし出れるなら私も出たいです」
あっちゃんとラ王無双さんと、蒼月さんから立候補の意思を表明された。
「今三名の勇気ある方が立候補して頂きましたが、他にいなければ私も出ます。」
次いできんぐさんからの意思表明で4人が決まった。
〔彩音早く挙手するんだ〕
(えぇ、大丈夫?ロッくん・・・)
〔俺なら勝てる。〕
(わかった!あたしがんばるよ!)
しばしの沈黙を打ち破るように彩音が勇気を振り絞り声を挙げた。
「あのー私でよければ出ても構いませんか?
なんか言葉おかしくなっちゃったけど・・・」
「待ってました!」
「大将まかせましたよ!」
「それでは、今立候補して頂いた5名で皆さんよろしいでしょうか?
よろしければ拍手で賛同ください。」
皆から盛大な拍手が沸き起こる。
「がんばってねーみんな応援するよー」
「ファイト!」
皆から暖かい言葉が届く。
彩音も胸に静かな闘志を秘めモニターを睨めるように見てた。
〔頑張るのはおれだけどな。まぁー安心してろ。〕
(ちょっと、ロッくん。あたしの決意・・・)
次に団体戦の選出を終え最後の代表戦の選出を残すだけとなった。
「やはりここは・・・」
「この人しかいないでしょー」
「そうですね、この大一番を乗り越えられるような人は一人しかいないですね、ロックスさんお願いできますか?」
「わ、私でよければ、頑張ります!」
「決まりですね!改めて皆さん拍手を!」
〔彩音頑張れよ・・・〕
(えぇぇ、ロッくん・・・あたしは無理だよ?)
〔冗談だよ・・フフフ〕
かくして、来る日に向けたメンバー選出を終え、それぞれが、己の為、仲間の為、プライドの為、
それぞれの思いを胸に秘め熱い闘志をたぎらせて、その時を待つ。
この日からクレイジーギアにおいてもPVPの模擬戦を行うようになった。
主にロックスよりアドバイスをもらいながら、どうやって敵を詰め切るか。
交流戦までに、できる限りのベストな状態に持っていけるように。
「緊急脱出使うのが、少しはやいよー、もっと堪えないと。」
「そうなんだよねー、すぐやばいと思って使っちゃう癖が・・・」
PVPというのはやはり経験が一番ものを言う。
頭ではわかっていても、焦ってくるとついやってしまう。
静かに闘志を胸に秘め冷静に見れるようになれば、回避どころと詰めどころが分かってくる。
モブを倒すようにひたすら火力をぶっこめばいいのとは、道理が違うのだ。
だからこそ、MMORPGにおけるPVPは、のめりこむ程熱くもなるし、その壁にぶち当たって
挫折する人もいるが、その違いはやはり周りのサポートもあるだろう。
一人では折れてしまいそうな時も、仲間の励ましと練習相手、これに恵まれた環境であれば、
MMORPGのPVPは最高に楽しいものになる。
お付き合い頂きありがとうございました。




