いばらの道を知らないために
「解除」
再びフードをかぶった俺がそうつぶやくと、周りにある黒い壁が消えていく。
校舎を見ると困惑している生徒が見える。当然だ。
俺の決闘相手はSクラス1位だ。そして俺は時計に目をやる。時計は決闘開始から約10分ほどしか進んでいない。
そんな時、スピーカーから、校長ではない教員と思われる声が聞こえ、試合終了のコールが入る。
「試合終了!勝者!フード男…?」
困惑したような声がする。どうやら俺のことを校長は伝えなかったようだ。
「ま、俺からしたらそっちの方が都合がいいか…」
俺は足で地を蹴り退場する。
倒れている男は医療班と思われる奴らに回収されたし問題はないだろう…
「急所は外してあるしな…」
そんなつぶやきはきっと誰の耳にも届かなかったのだろう。
~Eクラス寮 自室~
「で…?」
俺はそんなため息まじりの声でもはや見慣れた光景を見る。
「別に?どうやったのか少し気になるだけよ…」
と鈴
「お父さんがカッコよかったから!ほめてあげようと思って!」
とモノ
鈴は体育館でのこと以来時々俺の寮に押しかけて能力の使い方や、俺の技の詳細を聞いてくるようになっているのだ。しかもめんどくさいのは教えるまで意地でも自室に戻ろうとしないところだ。
まあ…逆に言えば教えたらすぐ帰ってくれるし、今回もそうするか…
「あれは物質支配だ…」
俺はそうつぶやき鈴に能力を説明する。一方モノは何が起こったのか理解できているようだ…ふつうにすごいな…
「あの決戦フィールドって内部ではけっこう激しく能力戦が行われるから、中の魔力が外側に漏れるのを防ぐため、防御壁が張られているのは知っているか?」
え…ええ!と鈴は言っているが完全に目が泳いでいる。
「その防御壁に俺の魔力を付着させてその魔力に光を吸収する特性を付け加え、物質支配で固定させてだけだ」
それを聞き鈴はモノに事実を確かめ、モノは首肯する。
そうだ。この技術もあくまで魔力操作…別に物質支配がなくてもできることだ。
「この学校はそれすらできない生徒が多すぎる…だからこそいばらの道というものを知らないんだ」
そのつぶやきは鈴とモノの盛り上がりによってかき消されたのであった。




