小さな悪夢が生まれる時 7話
「高い」
私はそうつぶやきながら下を見下ろす。ここは狭い観覧車のゴンドラの中
「だからいいんでしょ!」
元気よくゴンドラの上で飛び跳ねている。グラグラと揺れて気持ち悪い
「一回座って?揺れるから」
私がそうなだめ渋々席に座り周りを見下ろすセロ。そんな時彼女の視線が一瞬とある方向で止まったような気がした。
「ねえ…お師匠様たちは?」
私は聞きそびれていたことを唐突にセロにぶつける。
「お兄ちゃんたちは今少し仕事に行ってるんだ…だから帰ってくるのは夕方になると思う」
そうどこか悲しげにゴンドラから外を見ながら言う。その視線はとある建物に固定されていた。
「でも!今日はしっかり街を見て回るよ!せっかく外出が許可されてるんだから!」
そう言ってセロは私に笑顔を向けてくる。
「今日一日だけは…私に力を貸してね?」
いたずらっぽい少女はクスリと笑う。お師匠様たちじゃなく…セロにってこと?と聞こうとしたけれど、その言葉を私は飲み込んだ。かわりに…
「なら…私に夢の続きを見せてよ」
幸せな夢。お母さんたちも生きていて、お師匠様も一緒に暮らす夢。それだけでいい。そんな夢を見せてほしい。お師匠様はこの夢をかなえるために仕事をしていると言っていた。だから私は自然と呟いていた。
お互いに少しびっくりした表情になったと同時にゴンドラが一周した。私より先にセロがゴンドラから出る。
「いつか見られるよ」
そんな彼女つぶやきはゴンドラから降り遅れたらしい




