小さな悪意が生まれる時 2話
先生は私に言った
「君の夢は何だ?」
私はその言葉に迷わず答えた。
「お父さんたちともう一度会うこと」
その言葉を聞くとお師匠様は軽く微笑んでわたしの頭を撫でてくれた。それには確かな愛情があってとても心地よかった。
「おい!!アロガン!次の仕事行くぞ!」
お師匠様の後ろからそんなことを言う男がいる。
「ああ…わかったからそんな大声を出さないでくれ…シャイターン」
お師匠様は私の頭から手をどけるとどこかへ行ってしまう。
お師匠様についてきて以来私はこの{能力者収容施設}で暮らしていた。ここはご飯はとても冷たく、居心地も悪い。だからできるだけお師匠様から離れたくない。
「まって!お師匠様!」
「ん?どうしたんだ?」
お師匠様はとても優しい。私がお願いしたら連れて行ってくれるだろうか…
「寂しいのか?」
その言葉に私は大きくうなずく
「ごめんな…俺はこれから危ないところに行くんだ…お前を守ってやることはできない。お前はお母さんたちに会いたいんだろう?」
お師匠様はそう答える。私はお師匠様の邪魔はしたくなかった。そうしたらお母さんに会えなくなってしまうかもしれない。
「気を付けて…ください」
私にはそう言うことしかできなかった。
私の言葉にお師匠様は微笑む。
これでいいんだ…これでお母さんたちに会える…。
そう自分に言い聞かせながら私はお師匠様の背中を見送った。




