世界一美しい笑顔
「はぁ…めんど」
俺はそう吐き捨てスズリのけがを見る。
「結構やられたな…大丈夫か?」
俺のその言葉にスズリは、はっとした表情をした後慌てて答える。
「別に大丈夫ですよ!?…それよりさっき、お兄ちゃんは何をしたんですか?」
「………目的地に着いたら教えてやるよ…」
俺はそう言いスズリを抱え目的地まで走る。
あの学校のことだ…新手が来る前にさっさと逃げたほうが吉だな。
走っているときスズリから流れてきた血が俺の背中に流れてくるが気にしている暇はない。俺自身も結構疲れてきている。
足が重い…
俺は自分を奮い立たせながら、その道を上る。
ずっと
ずっと…
ずっと走り続けた
やがて…
「ここでいいのか?」
俺がスズリから言われたデートの目的地…山の中に大きな桜が咲いていた。他の桜とは違う、神秘的な雰囲気を醸し出すその桜の木陰にスズリを降ろす。その隣に俺も腰を下ろす。
「ここ、私のお気に入りの場所なんですよ?お兄ちゃん」
「お前の能力上そうだろうな…」
「さすが…やっぱりお兄ちゃんはこの場所を知っているのですね…」
そのスズリの声からはさっきまでの元気は感じられなかった。
「お前…やっぱり殺し屋だろ?」
俺はそうスズリに問いかける
「やっぱり知ってたんですね…」
「まあ…そりゃあ気づくだろ…」
そんなことを…そんなどうでもいいことをしゃべりながら、僕らは少し笑っていた。
そして少しの沈黙が僕たちを包む。
「なあ…スズリ」
俺は優しくスズリに問いかける。
「もう…いいか?」
俺がそう聞くとスズリは今までとは比べ物にならない笑顔を浮かべながら…
「はい!」
空を見上げれば少し日が出ている。横を見るとさっきまでそこにいた少女はいない。その代り、この木の周りに多くの光が舞っている。その光からは少女の気配がする。
「何でそんなことを俺に願うんだよ…なあ?スズリ」
俺は息を深く吐き、呟く。
「お前の笑顔…誰よりも美しかったよ」
長年願ってきた夢がかなえられる瞬間は、人はあんな笑顔を浮かべるんだな…
そして俺はそばにある空薬莢を拾い上げ桜の木のそばに、銃と一緒に置く。
そして俺はその光に…消えてゆく光に問いかける。
「俺はお前を…救えたのか?」
と…




