数時間前の別動隊
「なんなの…これ?」
私は殺人という依頼で現場に駆り出されていた。相棒である彼方とともに…だ。だが目の前の光景は決してその殺人が普通の物ではないことを認識させられる。
「雪?」
殺人現場だと報告されていたその一軒家。その一軒家の範囲にのみ【雪のような粉】が積もっているのだ。そしてその境目ではその粉に突っ込むように死んでいる人が何人もいた。
「この粉は触らない方がよさそうね」
私はそう判断し能力を発動させる。
「ほら…彼方?あなたの出番よ」
「まったく…仕方ありませんね」
彼方はゆっくりと刀を抜く。
「はぁ!」
抜かれた刀を大きく振り上げる彼方。すると積もった粉が一瞬で中に舞い上がる。
「はぁ!」
2回目の声と同時に舞っていた粉は一瞬にして消え去ってしまった。
簡単な話である。私の能力で粉を私たちに付着しないようにするして、彼方の斬撃で1度中に舞い上がらせたのだ。そして質量を軽くした粉をもう1度斬撃で飛ばした。物体貫通と質量操作…アイツとの訓練の中で身についた技術だ。
「すごいわね」
無意識に口にした言葉に彼方が目を光らせながら反応してきたのでそそくさと家の中に足を進めるのだった。