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禁句
その呼びかけに答えたのは一人の少女だった。
「お…兄ちゃん…」
目の前にいるのは俺の妹。その声は震え、瞳からは涙がこぼれている。その表情を見て俺は自分の過ちに気づいた。
「ごめん…!モノ…」
俺は妹から目をそらし弱々しい謝罪を返すしかなかった。
「…もういいよ…お兄ちゃん」
妹はその言葉をはきローブの方を見る。するとローブは声を発した。
「なるほど。それがお前の妹か…」
そう言うとローブの雰囲気は変わった。正確に言えば殺気が無くなった。
「分が悪い…罪人の事はまた後日にしよう」
俺はそのローブが消える瞬間を見ているだけしかできなかった。