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連行
「無駄な努力だな」
俺は人影の言葉をあざ笑う。すでに一度俺はこいつと戦ったことがある。しかもこいつはあれから”絶対に強くなることがない”ことも知っている。
「何の策もなしにお前を拘束するわけがないだろう?」
そう言ってその人影はどこからか光る石のような物を取り出した。
「なるほど…」
俺はこれから何が起こるのか見たことはない。だが…知っている。
「そもそも能力を所持していないお前の脅威はたった一つだ…それを排除すればお前を拘束することぐらいわけないさ」
そんなことを言いながら人影はその石をたたき割った。その瞬間俺は自室ではない場所に立たされる。
「はぁ…めんどくさい」
俺はため息をつきナイフを構えるのであった。